第6話:感謝と厄介払い・キャメロン視点
「騎士殿の貴婦人への見返りを求めない愛には感心致しました。
まずはお名前を聞かせてください、騎士殿」
「私はゴドン・ラムゼイと申します」
「ラムゼイと言えば子爵家にも同じ家名の方がおられましたね」
「父でございます。
私は次男で、独立するために幼い頃から騎士団で修業しておりました」
「そうでしたか、誇り高いラムゼイ子爵家に連なる方だったのですね。
改めてゴドン・ラムゼイ殿に感謝を捧げさせていただきます」
「身に余る光栄でございます、キャメロンお嬢様」
「ただ私のケガはもう魔術で塞いでいて心配はありません。
護衛も歴戦の戦闘侍女が五人もいてくれますので心配ありません。
だから逆に殿方について来られると色々と困るのです」
「いえ、いくら腕の立つ戦闘侍女と言っても五人では心もとないです。
悲しい事ですが、最近では王国の治安が悪化しております。
どうか私にキャメロンお嬢様を護らせてください」
ああ、この漢に遠回しな言い方は通じないようですね。
毎日お花を摘みに行くにしても、身の回りを気を付けるのしても、男がいると邪魔でしかないのですよ。
はっきりと邪魔だというのは簡単ですが、それでは芸がないですね。
「ゴドン・ラムゼイ殿。
私はオーガスト第一王子殿下に不興をかっています。
私に味方すると、本家までオーガスト第一王子殿下の不興をかってしまいます。
ですからもう城門守護の役目に戻られてください」
「いえ、そうはいきません。
騎士たる者が困っておられる貴婦人を見捨てるわけにはいきません。
それに私はもう分家して独立しております。
私のした事で本家を処分するほど、オーガスト第一王子殿下は愚かでも身勝手でもないはずです」
いいえ、オーガストはそれくらい愚かで身勝手ですよ。
と言ってもこの筋肉騎士は理解してくれないでしょうね。
この漢には別の言い方をした方がいいでしょう。
「そうですか、そうかもしれませんね。
ただ私にはとても不安な事があるのです」
「何事でしょうか、私に解消できる不安ならばお手伝いさせていただきます」
「でしたらゴドン・ラムゼイ殿を頼らせていただきます。
私の妹がとても邪悪な性格をしているのです。
このケガも妹がオーガスト第一王子殿下をそそのかしたようなのです。
ゴドン・ラムゼイ殿を忠義の騎士と見込んでお願いします。
妹のブリトニーがこれ以上オーガスト第一王子殿下を誑かす事がないように、見張っていてくださらないでしょうか。
ただ絶対に注意したり行動を起こしたりしないでいただきたいのです。
配下の兵達に情報を集めさせて、私に知らせて欲しいのです。
王家に仕える忠義の騎士ゴドン・ラムゼイ殿ならば、貴婦人への無償の愛よりも、王家の事を優先してくださいますわよね」
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