第21話:愚か者達

「レミーがよくやってくれているようね」


 私はベテューヌ王国に潜入して暗殺をしてくれてるレミーほめました。


「はい、的確に裏切者を選んで殺しているようです」


 ブレンダがうれしそうに返事してくれます。

 カチュアもミリアムもアニーもうれしそうです。

 暗殺をよろこぶなんて、私もこの世界になれたのでしょうね。


(お役人様、このお値段でどうでしょうか)


 魔術で聞き耳を立てていた私に悪意が伝わってきました。

 不正を働く者がいないか使っている魔術でしたが、初めて反応しました。


(領主様にお渡しする金額と同じだけの額をお役人様にお渡しさせていただきます)


(くっくっくっくっ、このような僻地に高貴な私がきてやったのだ。

 しかもしょんべん臭い田舎貴族に仕えてやっているんだ。

 これくらいの利がなければやってられんよ)


「どうかなされましたか、キャメロンお嬢様」


 私もマダマダですね、初めての裏切りに顔つきが変わってしまいましたか。


「いえ、大したことではありません、皇太子殿下の側近が役に立つと送り込んできた一族の者が、商人からワイロを受け取っていただけですよ」


「許せませんね、殺しますか」


 ブレンダが直ぐに応えてくれました。


「そうですね、本当は殺したいのですが、殺すと側近に逆恨みされますよね。

 皇太子殿下や皇帝陛下に嘘の報告をされて、立場が悪くなるのは困るのです」


「そうですね、確かにそれは困りますね」


「事故に見せかければいい」


 カチュアなら、私が殺したのだと誰にもバレないように事故死させてくれるでしょうが、それではあまりおもしろくないのですよね。


「それでは側近を殺せませんよね。

 できれば私を食い物にしようとした側近も殺してしまいたいです。

 時間もお金もかけていいので、側近を殺す方法はありませんか。

 手先の一族や小物の商人など殺せなくてもかまいません」


「分かった、考える。

 時間もお金もかけていいのなら、情報屋を使う。

 きっと他でも悪事をやっている。

 そっちから見つけさせて、その後でこっちを見つけさせる。

 それでお嬢様疑われない」


 さすがカチュアですね。

 私の安全を確保したうえで、皇太子殿下の側近を殺してくれます。


「だあああああ、お嬢様とカチュアの考えも分かるけど、腹が立つわ。

 このままじゃ気分が悪いから、何かスッキリすることしない」


 ミリアムがストレスの発散をしたいようですね。

 私も内心ではイライラしているので何かで発散するのは賛成です。

 しかしレミーがいなくてよかったです。

 レミーがここにいたらもう商人と役人を殺していますね。


「じゃあ竜でも狩りに行きましょうか」

 


 


 

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