第20話:閑話・レミー

「よう、敵の情報は入ってるか」


 うちのチームが使っていた情報屋から最新の話を聞く。


「ブリトニーがオーガスト王子を操っている。

 セシリア王妃とベイジル王子の側近が何人も金に転んだ。

 このままだとセシリア王妃とベイジル王子が殺されちまう」


 面白くなってきているわね。

 

「名前と行動パターンを教えて。

 必要なら殺してしまうわ。

 それとブリトニーとオーガストの行動パターンもね。

 殺せるなら殺してしまうわ」


「残念だがブリトニーとオーガスト王子にスキはない。

 とても慎重に行動していて王宮から出てこない。

 だがその分、側近が頻繁に動き回っている。

 そいつらならいくらでもチャンスがある」


「しかたないわね、今回はそいつらで我慢しておくわ。

 全員の名前と行動パターンを教えて」


 まあ、その方が長く人が殺せるわね。

 先にブリトニーかオーガストを殺して、裏切者達がお嬢様に頭を下げてしまったら、殺せなくなってしまうわ。


「教えるのはいいが、俺を巻き込まないようにしてくれよ」


 憶病なやつね。


「分かっているわよ、大切な情報屋を巻き込んだりはしないわよ。

 私に教えた情報をちゃんとお嬢様に伝えているんでしょうね」


「任せてくれ、情報屋は信用が一番だ。

 あれだけの前金を渡してもらって、定期的に追加報酬ももらっているんだ。

 情報の信頼度と一緒に全て伝えているよ」


「そう、ならいいわ。

 それと、貴方は巻き込まないけど、案内役はつけてよ」


「分かっているよ。

 お前、レミーを案内しろ」


★★★★★★


 定期的に人を殺さないと頭が割れるように痛む。

 胸も張り裂けそうに痛み、大声で叫びたくなってしまう。

 それでも我慢していると、無意識に人を殺してしまう。

 何の罪もない人を殺してしまうと、正気に戻った後で罪の意識に苦しむ事になる。

 だから情報屋に金を渡して悪人を探してもらい、限界になる前に殺している。


「じゃあそこで待っていて」


 情報屋の手下を待たせて馬車に襲い掛かる。

 最初に護衛の首を一撃で斬り飛ばす。

 返す刀で御者の首も斬り飛ばす。

 平気で主人を裏切るような連中だ、殺した後で罪の意識に苦しまずにすむ。


「すげえええ、剣を抜いたのも見えなかった。

 気がついたら馬車の中に入ってやがる」


 案内役が何か言っているが、無視です。

 馬車に入ったら一番強敵になりそうな奴を殺す。

 ごくまれにターゲットの貴族が一番強い事もあるが、普通は馬車の中にまで入る事を許された護衛が一番強い。

 今回も一撃で確実に心臓を貫いて殺す。

 その後で裏切者の貴族をなぶり殺しにして、ブリトニーとオーガスト恐れるように、不忠の裏切者に天罰を与えたと血で書き残しておいてやる。

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