第30話:蘇生復活
私はブリトニーが地下に造った快楽殺人部屋を丹念に探し回りました。
魔力使って残された被害者の遺体を一人一人丹念に確認して手で分けました。
魔力を使って他の人の骨や肉片と分けることもできます。
ですが全部を魔力で行うと多くの魔力が必要になります。
蘇生復活の魔術には膨大な魔力が必要なので、その前の分別では魔力を節約したかったのです。
私は魔力に任せて骨だけになっていた被害者を蘇生復活させました。
その数は信じられないほど多く、二三七人もいました。
人の多い王都とはいえ、二三七人ものうら若い娘が行方不明になったのです。
王都の人々は恐怖と絶望に囚われているでしょう。
人々を安心させるためにも、ブリトニーの悪事を広めるためにも、身勝手な理由で殺された娘達は救わなければいけません。
「ありがとうございます、ありがとうございます、ありがとうございます」
「キャメロン様、ありがとうございます」
「キャメロン様、キャメロン様は聖女様じゃ、聖女キャメロン様じゃ」
「女神様だ、キャメロン様こそ女神様だ」
蘇生魔術でブリトニーに殺された娘達を蘇生復活させた私は、王都の人々から聖女だ女神だと称えられました。
「この悪魔、魔女め」
「お前なんか今直ぐ殺されちまえ」
「親殺しの人でなしが」
「簒奪者の偽王め、これでも喰らえ」
「もっと苦しめばいいんだ」
晒し者にされているオーガストは簒奪王や偽王と言われています。
悪魔魔女と罵られているブリトニーと一緒に罵声と投石は浴びせられています。
「やめろ、俺様は王だぞ、俺様にひれ伏せ、この虫けらどもめ」
「やめよ、止めないか、これは全部キャメロンの仕組んだ事なのです。
婚約破棄追放女が私を貶めようとした罠なのです。
私を助けなさい。
私を助ければ貴族に叙爵してあげますよ」
「おお、そうだ、そうだ、叙爵してやるから助けろ。
英明な王である余が貴族に叙爵してやるのだ。
命を捨てて余に尽くせ」
「やかましいわ、この悪魔め」
「娘を蘇られてくださった聖女様の悪口を言うなんて、死んじまえ」
「女神様の敵を殺せ」
「石だ、もっと石を持ってきてぶつけてやれ」
私は自分の行為を正当化するため積極的に多くの噂を流しました。
ブリトニーとオーガストの悪行を国内だけでなく大陸中に流しました。
自分を賛美するような噂も恥ずかしさを押し殺して流しました。
まあ、これに関しては蘇生復活させた娘と、その家族が褒め称えてくれましたから、それほど自分から流す必要はなかったのですが。
「キャメロン嬢、王都の事はレミーと騎士に任せて国内を巡りましょう」
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