第7話:旅の空1・キャメロン視点

「キャメロンお嬢様もお人が悪いですね」


 ブレンダが私の事をからかうような言い方で話しかけてきます。

 先程筋肉騎士のゴドン・ラムゼイを追い払った事を言っているのでしょう。

 確かにうまく利用できる手駒を王城に残せたともいえます。

 ですが簡単にぼろを出して処罰される未来しか思い浮かびません。

 そう考えれば私はとても人が悪いですね。


「仕方ないでしょう、女六人旅に男一人で参加しようなんて、虫がよすぎます」


「そう、あれはダメ、ガサツな男と一緒は嫌」


 珍しくカチュアこちらから質問もしないのに話します。

 よほどゴドン・ラムゼイのような気の利かない男が嫌いなのでしょう。

 それとも身体が大きな男が苦手なのかもしれないですね。


「そうかい、私はああいう男の方が扱い易くて好きだけどね」


「ブレンダは昔から男の趣味が悪い。

 不潔でガサツで大きな男ならなんでもいい」


「おい、おい、おい、それは言い過ぎだろ」


 ブレンダとカチュアが可愛い言い争いを始めました。

 とは言ってもブレンダが九割話してカチュアは一割返す程度です。

 普通なら震動と騒音の激しいのがこの世界この時代の馬車ですが、私専用の馬車は振動も少ないですし騒音もほとんどありません。

 私が大金を投じて貴重な魔獣素材で作らせた逸品です。

 まあ、馬車のような大きなモノを逸品と呼んでいいかどうかは別ですが。


「キャメロンお嬢様、フクロウが先に盗賊団が潜んでいると言っています」


 御者を務めてくれているテイマーのミリアムが声をかけてきました。

 夜とはいえ王都を出てからまだ半日も経っていないというのに、情けない事です。

 これもブリトニーが王家を操って重税をかけさせたからでしょうか。

 いえ、それにしては治安が悪化するのが早すぎますね。

 元々王家王国の政治が悪かったのでしょう。


「ミリアムの動物達で何とかできますか」


「多少手傷を負うかもしれませんが、全員殺せると思います」


 ミリアムが自信満々で答えてくれる。


「待ってくれ、盗賊団なら懸賞金がかかっているはずだ。

 ミリアムのオオカミやトラに喰われたら金にならない。

 キャメロンお嬢様から大金をいただいてはいるが、稼げる時に稼いでおきたい。

 どうですかね、キャメロンお嬢様。

 私達に小遣い稼ぎさせてもらえませんかね」


 やれ、やれ、できれば急いでオギルヴィ皇国までいきたいのですが、ミリアムも長く傭兵や冒険者として苦労してきているだけに、お金にはうるさいですからね。

 ここは条件付きで認めてあげましょう。


「時間がかかってはダメよ。

 生かして犯罪者奴隷として買い取らせたいのでしょうが、歩かせて連れて行くのなら許可できないわ。

 殺して討伐報酬を稼ぐのは認めます。

 犯罪者奴隷として連れて行くのは、盗賊団に捕らえた後で運べる馬や馬車がある場合だけよ、いいわね」


「ありがてぇえ、直ぐに終わらせますよ」

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