ヒロインはLOVEだが、敵はKILLだ

 Boy meets Girlと、現代ファンタジーらしいバトルの二軸で繰り広げられるライトノベルというカテゴリーに相応しい物語です。

 エキセントリックな言動の多いヒロインから始まり、軽快という二文字の通り、軽く快い会話劇が繰り返されるキャラクターたちは、ともすれば読者を放置してしまいそうな勢いがあります。

 それでも「訳が分からない」と投げ出したくなる気持ちが湧かないのは、このキャラクター達の勢いが、少しでも物語に入り込んだ読者を、ついてこられないのならば引っ張ってやるとばかりにパワフルに引っ張ってくれるからだと思います。

 しかし軽いといっても軽薄さがある訳ではなく、背景にはしっかりした骨太のストーリーがあり、暗い影を落とすかとも思わされるのですが、そこは作者の技量の見せ所とでもいうべき点であり、悲観的とか不必要なダークさとは無縁、寧ろ少年マンガ的な熱さを感じさせます。

 55000字弱の物語が、あっという間に過ぎ去っていく、そんなスピード感に酔うのも悪くないはずです。