目が覚めたらアンドロイドになってたので、天才ロリご主人様のお世話します!

蓮沼 硝史

1. アンドロイドになっちゃいました!?

「……ステータスは問題ないようだ」

「目覚めたみたいだワン」


「んん……」

 まぶたの向こうに光を感じて、うっすらと目を開けてみると、

女の子がこちらをのぞき込むように見ていました。


「自分の名前はわかるか?」

「はい、ユウカ、です」

 名前を訊かれたので、答えます。

「うん」

 女の子は小さくうなずきました。


 私は、ベッドに横になっていたみたいです。よくわからないままにカラダを起こして、

目の前の少女を見つめ返します。


 女の子は長い髪を束ねてポニーテールにしていて、身長は150cmない……、

145cmぐらいでしょうか。

Tシャツにショートパンツのラフな格好をしています。

 隣には、メタリックシルバーのワンコ? ロボット? が座っていました。


 視線をずらすと、部屋の中にはなにか工具が散らばっていて、

奥にはパソコンっぽいものが見えます。

 工房みたいな感じなのでしょうか。機械メーカーで働いていたお父さんが、

似たような道具をいくつか持っていたかもしれません。


「えーっと……」

 腕を少し動かしてみました。

「どこか、腕の動きにおかしなところはあるか?」

「ええ……、あ、いえ……」


 動きには問題がなさそうです。

 でも、何というか……。なにか変?


 なんとなく違和感を感じて右肘を手で触ってみると、思っていたものと違う、

プラスチックのような硬めの感触がします。そのまま、手で肩までつたっていくと、

二の腕は普通。肩は肘と同じみたいです。


 腕を上げて肘を目の前に。なにやら、自分のカラダに見慣れない……、

パーツ? があります。どこか、人形の球体間接っぽいというか、

無機質な感じ。


 何度か確かめるように触ってみて……。

 左肘に両膝も。やっぱりちょっと硬い感触です。


「それが今のキミのカラダだ。はじめは少し違和感を感じるかもしれないが、

 行動には問題が出ないように調整はしておいた」


 いまいち、状況についていけずに、きょとんとしていると、

女の子はパソコンを操作して、画面を指さしました。


「人型アシスタント アンドロイド KFM20-AH。型落ちだが、性能に問題はないだろう」

 画面には、髪を肩に少しかかるぐらいのボブにした女性が映っています。

「アンドロイド?」

「ああ」


 彼女は、私に視線を戻して、説明を続けます。

「キミには、この家の家政婦になってもらおうと思う」

「家政婦?」

 私は、オウム返しをしてしまいます。


「ああ。今この家にはワタシと、こいつしかいなくてな」

「ご主人は、頭もいいし、手先もそこそこ器用だけど、家事はだめだめワン」

 ペットロボットさんは、やれやれといった感じです。

「うるさいな」

 女の子の方は、少し恥ずかしそう。ちょっと、カワイイかもしれません。


「まあ、実際のところ、その通りではあるんだが。家事は苦手というか、正直、面倒だ。

 だから、キミにお願いしたい」


「ええと、つまり」


 とりあえず、右のほっぺたをつねってみます。

「いひゃいでふ」


 加減がわからなくて、力を入れすぎました。



「私……」



「機械のカラダになっちゃいました!?」

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