なんなんでしょうね、これは……
詩というよりは、実験的SFな気がします。そのほうが個人的には納得できる。
一話につき約80万字という超巨大ページには、短い前文とともに、この世に存在しない組み合わせのカタカナ4文字がひたすら羅列されています。
なので、なんとなく思いついた4文字をgoogleで検索した方だけが、この小説(?)に行き当たって特別な体験ができるという、とても個人的で稀有なものなのですが。
私がレビューを書こうと思ったのは、「題未定」と章立てられた詩たちがとっても良かったから……
SF的感性と、豊富な語彙、不意に飛んでくるキレキレの一言。
相当賢い人なんだろうなと思って他の小説を見てみると、また別種の(ほんとに別種の)驚きが……めちゃくちゃ人を選ぶものが点在しています。
ですが、そんな小説たちも結局は、上記の美点は失わないのが凄まじい。小説とはなにかを、教え込まれている気さえします。
感動したのを一瞬後悔するくらいの内容のヤバさ。でもやっぱり土台の確かさも感じる。混乱です。
とにかく、「題未定」の文章に惹かれた方は、他のお話も一覧してみるのをおすすめします。
えぐい森に迷い込んだ気がするかもしれませんが、クロールしてるとお宝はたしかに眠っています。でも、苦手ならブラバでもいいのではと言いたくなるほど、容赦はないです。探検する際はお気をつけて。
(もちろん読みやすいものもあります。「1 / 360の優勝トロフィーと2015年の話」は、いい意味ですごく一般向けです。キレもある。すき)
この物語は、一見すると、何の意味のない言葉を羅列した怪奇文に思えるが、「題未定」と章分けされた文章の数々を読み解くことによって、徐々にこの物語の意味がわかるようになってくる。
先ほど、「物語」と書いたが、この文章は、小説というよりは、謎解きに近いのかもしれない。難易度は限りなく高いが、細かい数字や些細な言い回しにも意味があることを理解できた時の快感は、筆舌に尽くしがたい。私個人としては、「1/57,289,761の言葉」の意味を理解した時が、最も嬉しかった。また、個々人で様々な考察、妄想ができるのもこの物語の魅力であろう。
最後に、おそらく私の中に残り続けるであろうこの物語を、多大であろう労力をかけて創りあげてくださった作者様に感謝の意を表して、締めくくりとさせていただきます。是非、あなたもこの物語をお試しください。
ハロヰツ!