概要
一人は人間、一人はアンドロイド。二機の翼が描く大空のコントレイル。
戦時下、緩衝地帯間際の基地に降り立つ女性型アンドロイド・エイト。彼女の任務は、彼女がパイロットとして人間以上であるという証明だった──。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!男の子の好きなもの全部載せの空
機人と称される女性型アンドロイドパイロットと、その性能テストのための模擬戦を担当することになったベテラン戦闘機乗りの、二週間にわたる訓練と交流のお話。
SFです。それもハードSFというよりはエンタメ寄り、というかもうロマン方面に突き抜けたような、ただただ格好良くて気持ちの良い物語です。読者の欲しいものを欲しいタイミングでさりげなく差し出してくれる、仕事ぶりの完璧なコンシェルジュみたいな作品でした。たぶん「出来が良い」という形容が一番しっくりくる感じ。
最大の魅力は作品全体に通底するわかりやすさ、ある種のホスピタリティのような部分です。「とにかく読んだ以上は満足して帰ってもらう」という圧…続きを読む - ★★ Very Good!!このアンドロイドは夢を見そう
筆者初の空戦もの(漏れてたらすみません)。
架空の世界なのか、少し先の未来の話なのか、作中で多くは語られないものの、おそらく精巧なアンドロイドは既に実用化されており、この度戦闘機パイロットとしても導入が試みられる、と言ったところだろうか。
筆者が得意とする登場人物同士の軽妙なやり取りは健在で、戦時下で常に臨戦態勢にある前線に近い基地という緊張感を和らげている。
本作の主眼は恐らく二人の機人の心の交流、葛藤であり、精巧なアンドロイドが人間を脅かすかもしれないという、SFで語られがちなテーマは薄い。しかし最終的にエイトの”人間臭さ”がかなり露見することで、本作で描かれたテーマとは違った軸で物語を…続きを読む