概要
世界中の空がダイヤモンドの色に染まって、僕たちの頭上に落ちてきた
床に放り出された擦り傷だらけのテレキャスター。そのボディから伸びるシールドはのたうちながら部屋中を這い回り、エフェクターボードにたどり着く前に同じく床に捨て置かれたジャガーに踏み潰されている。中央で倒れたマイクスタンドを挟んで弦の切れた薄っペらなサイレントギターが横たわり、一番奥に置かれたドラムセットの足元。
雛目あくりは、堂々たる大の字で地べたに転がっていた。
雛目あくりは、堂々たる大の字で地べたに転がっていた。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!ケリをつけられなかった青春の延長戦
かつての天才美少女ギタリストと、その才能に心底惚れ込んだバンドメンバーの、夢の後の日常とそして再起のお話。
モラトリアムを描いた現代ドラマです。自分の進むべき道を見つけられないまま、それでももがくように生きる人たちの物語。といっても、それは本筋やテーマに近い部分の話で、読み口そのものは決して重苦しくなく、むしろ登場人物の朗らかさや破天荒さのおかげか、どちらかといえば軽妙な印象で楽しく読めました。少なくとも、ただ悩んだり迷ったりするばかりのお話ではないというか、いやほらこういう題材だとどうしても鬱々とした内容を想像されてしまうような気がするので、そうではないですよ、的な意味で。
主人公と…続きを読む