――水底から立ち上がった泡が水面に弾けるまで――おばあちゃんの人生観を表した隠喩が素晴らしいです。ヒロインの「私」は、おばあちゃんとのやり取りを通して、日々の暮らしの中で失ってしまった「こころからの声」を取り戻します。そんな「私」に襲い掛かる、さまざまな悲しい出来事。絶望の淵で、「私」が出した答えとは――。生きるということ、いかに生きるかということについて、深く考えさせられる作品です。
声は何の為にあるのか? 言葉はなぜあるのか? 僕はたまにそんな事を考えます。意味のない音を出して、表面だけでわかり合った振りで馴れ合うだけでは、相手の本当の声は聞こえない。そして、本当の声ってのはきっと、聞き取れるか? 聞き取れないか? ぐらいに小さい。真花さんの『泡と声』はどうせ生きているならさ、つまんない顔で泣いてばかりいないで心から叫ぼうぜ! っと殴ってくれる。そんな作品です。殴られたい方はぜひ! きっと刺さる人がいると思いますよ。
人が、人の安全基地になれるその訳は、人が、疲れを回復できるその場所は、大きな愛情と人生への向き合い方。おばあちゃんの生き方が、声が、教えてくれます。 どうしてこんな作品が書けるのでしょう。 是非読んでいただきたい作品です。
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