概要
本文は非公開とさせていただいております。
ご了承いただきますようお願い申し上げます。
西暦2035年。安楽死制度が認められるようになった日本。
申請して許可が下りれば安楽死が出来る。但し「申請から1年間、検討期間として人命幇助者=アシスターとの面談」を行う。それが安楽死をするための必要条件の1つである。
恋人を失った女性。
幸せが崩壊した男性。
人生に愛想を尽かした男性。
『普通』に生きられない女性。
――あなたはどうして安楽死を希望するのですか?
これは主人公「遠野眞白」がアシスターとして、安楽死希望者の心に寄り添う物語。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!生きていくこと。ちゃんと向き合ったことはありますか?
舞台は安楽死が認められた日本。あるウィルスが引き金となり国民の不安が大きくなったため、安楽死制度ができた。けれども誰でもその薬を手に入れられるわけではなく、ちゃんとした手続きを踏む必要がある。終焉要件というものを満たし、申請手続きをし、アシスターと呼ばれる安楽死を減らすための人命幇助者との面談が必要となる。
と、物語の背景を説明しましたが……完璧に世界観が出来上がっていて、入り込んでしまいます。世界観が揺らぐなんてことはなく、作者の楪さんは繊細なところまで考え込み、何度も読み返し、物語を作った……というよりも、その世界を構築していったのでしょう。
物語はアシスターである眞白ちゃんと安…続きを読む - ★★★ Excellent!!!最後の楽園で、命の存在意義を問う。
パンデミック、国家間紛争……現在のリアルな日本からほんの少し糸を掛け違えたパラレルワールドのような世界で、人生に希望を見出せない人々のために安楽死が制度化された。
しかし誰でも安楽死を選べるというわけではなく、最低十回は「アシスター」と呼ばれる人と面談をしなければいけない。
また、安楽死の希望を申請するのは人生で一度きりしか認められず、面談の途中で申請を取り下げた場合は今後一切申請することはできない。
まず、この設定の巧さに舌を巻いた。
安楽死が認められる社会という設定までは思いつきそうなものだけれど、そこにいたる過程と葛藤を生み出すシステムが精緻に作り込まれている。まるで実際にその未来の…続きを読む - ★★★ Excellent!!!死ぬ意味と生きる意味、どちらに天秤が傾くかを見定める猶予期間の物語。
安楽死という選択が尊重される社会およびそのための制度が整えられた世界。
主人公はそんな世界で「死を希望する」人々と対話する職業に就いた女性。
彼女は仕事という形で「死を希望する」さまざまな人々に関わっていきます。
老若男女。
やってくる人たちの「死にたい理由」「生きたくない理由」はさまざま。
安楽死をしたいと公的に届け出てからの一年間、彼らのその意思が突発的なものではないか確かめるため、あるいは「生きる希望」を見いだすために、主人公たちは彼ら「死を希望する」人々と対話していきます。
そんな関わりの中で、主人公は時に傷つき、時に気づかされ、時に笑い、時に涙し、時に希望を見つけ出し、時に深く…続きを読む - ★★★ Excellent!!!生きることと死ぬことの狭間で揺れる心に、1人の少女はそっと寄り添う
制度としての安楽死が認められた未来の日本。
安楽死を希望する者は、申請から1年の間で、人命幇助者=アシスターと10回の面接をし、生死を決める。
これは、アシスターである遠野眞白が見届ける、安楽死志願者たちの物語。
まずは設定がすごい。
いつか、こんな未来が来るかもしれない。けれどもはっきりと想像はできない。そんな絶妙なライン。
その設定をしっかりと生かしきる筆力、構成力も素晴らしかったです。
眞白の、真っ直ぐで自分より他人を優先してしまう人間性というか、キャラクター性も、この作品にはもうこれしかないんじゃないかと思えるほどに完璧だったように感じます。
話は連作短編の形式で、どの話もテ…続きを読む