鬼の女の子の思春期小説

「隣のツノは赤いのです」というキャッチコピーが、強く頭に残っていたお話でした。端的な言葉に込められた意味を、読み始めてすぐに理解しました。
鬼の女の子の、思春期小説。切り口が斬新な物語は、同時に多くの人々にとって馴染み深いであろう感情を、丹念な筆致で描かれています。
鬼と人間、物事の価値観に多少の差はあれど、思春期の彼女たちが抱えたコンプレックスが、ピリリと肌に痛く、花の香りのような淑やかさで伝わってきます。主人公の心の揺れ動きに、気づけば心が同調していました。
感情の機微を誠実に描き出した、珠玉の短編。おすすめです。

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