高校の吹奏楽部のお話です。
楽器の経験度、コンクールへの意気込み、部内の人間関係など、多くの部員で一つのものを作り上げる吹奏楽部ならではのドラマが、豊かな筆致でリアリティたっぷりに綴られています。
中でも、演奏シーンの描写は圧巻。
一人一人の想いと音色。
文字を目で追っているだけなのに、音楽の彩りが脳内で鮮やかに広がります。
中学時代はコンクールで負けても「悔しい」と思えなかった主人公が、高校の吹奏楽部で多くの仲間と出会い、少しずつ変わっていく。
丁寧に描き出される心理や空気感は、彼ら彼女らの息遣いさえ感じられて、本当に素晴らしいです。
1年生を終えて、これからどんな音楽が聴けるのか、とても楽しみです。
吹奏楽経験者はもちろん、縁のなかったという人にもおすすめしたい一作です。
入学した高校の吹奏楽部は「正直下手ではないけど特別上手くもない」くらいの実力、なんだけど——
物語は主人公水谷薫が入学後、吹奏楽部へ入部を悩むところから始まります。
楽器経験者と未経験者の差、暗黙裏の実力社会、部内運営幹部との溝、コンクールメンバー選出のオーディションなどなどなど挙げればキリのない吹奏楽部あるあるには共感と読み進める指が止まりません。
「……僕/私、吹奏楽部じゃなかったし、いいや」と思った方、ちょっと待ってください!用語の解説等、そこかしこに作者様の配慮が散りばめられておりますのでご安心を!吹奏楽部を舞台としながらも、この作品で描かれるものは誰もが持っていてそれでいてもどかしい感情、そんな等身大の高校生像。これにはきっと誰もが胸に感じ入るものがあると思います。
そしてこの作品最大の魅力は、読みやすく丁寧な筆致に支えられた描写による圧巻の演奏! これぞまさに『読む』音楽!
部内で繰り広げられる人間関係を瑞々しく描く王道青春ストーリー! 元吹奏楽部の方もそうでない方ももう戻れない『あの頃』を思い返して一緒に悶えましょう!
吹奏楽は未経験なのですが、注目レビューで取り上げられているのを拝見して読み始めて以降、毎話楽しみにしております。
用語や楽器、吹奏楽部独自のルールなどが分からない人でも想像できるよう細やかに描写されており、未経験者の方でも物語の世界にどっぷりと浸かることができます。
人間関係や楽器への向きあい方、一人ひとりの吹奏楽に懸ける思いが伝わってきて、どの登場人物も応援したくなる一作です。
吹奏楽部の雰囲気が余すところなく情感豊かに表現されており、練習の場面などは登場人物たちの息遣いや緊張が感じられます。
作中でも吹奏楽の曲が紹介されているので、経験者の方は知っている曲が出てくるかもしれません。
吹奏楽部ってどんな部活かな、と気になっている学生の方や、吹奏楽未経験の方にこそおすすめです。これからも更新楽しみにしております。