エピローグ

深夜、シャルロットは自分のベッドで就寝していた


【シャルロット・ラトロワ】

「Zzzz」


目覚めなさい、目覚めなさい、シャルロット・・・・


【シャルロット・ラトロワ】

「んん。」


誰だ、せっかく気持ちよく眠っているのに、起こすのは辞めてほしい・・・・


シャルロット、いい加減起きなさい!


【シャルロット・ラトロワ】

「ひゃう!」


私は突然の大声で目を覚ました。ふと見渡すと私の目の前に気品のある美しい令嬢が立っていた


【シャルロット・ラトロワ】

「えっと、貴方は誰?」


【イリヤ・シュナイザー】

「私はイリヤ・シュナイザー、シュナイザー帝国の皇女です。」


【シャルロット・ラトロワ】

「えっ!シュナイザー帝国の!」


私の目の前に現れた令嬢は何とシュナイザー帝国の皇女!何でここに!


【イリヤ・シュナイザー】

「シャルロット、私は貴方と同じ立場の人間です。」


【シャルロット・ラトロワ】

「同じ立場?」


【イリヤ・シュナイザー】

「私も同盟国の王太子から婚約破棄され、戦争に発展させたことです。」


イリヤの発言に私は思い出した。50年前にグリミナス王国とシュナイザー帝国が戦争を起こしたことを!まてよ、50年前というと私の目の前にいるのは・・・・


【イリヤ・シュナイザー】

「私は半分は死んでいるわ。」


【シャルロット・ラトロワ】

「半分死んでる?」


【イリヤ・シュナイザー】

「私の寿命はもう長くない、この世と別れを迎える前に貴方にあっておこうと思ったのよ。」


【シャルロット・ラトロワ】

「そうだったんですか。」


不思議と恐怖を感じなかった。この御方にはどこか懐かしさを感じていたから・・・・


【イリヤ・シュナイザー】

「それよりもシャルロット、もう許してあげたら。」


【シャルロット・ラトロワ】

「許すって、誰をですか?」


【イリヤ・シュナイザー】

「自分自身によ。」


【シャルロット・ラトロワ】

「自分自身に。」


【イリヤ・シュナイザー】

「そうよ、貴方は自分の決断で此度の戦争が起こったことに責任を感じているのでしょう、貴方は十分、償ったわ、もう自分自身を許してあげなさい。」


【シャルロット・ラトロワ】

「でも私は、多くの人を死なせてしまった。そして生き残った人たちにも深い悲しみを与えてしまった。この罪は未来永劫消えることはありません!」


私はイリヤ様の発言に抗った。私自身、自分を許していなかったからだ


【イリヤ・シュナイザー】

「シャルロット、あるがままに生きなさい。」


【シャルロット・ラトロワ】

「あるがままに・・・・」


【イリヤ・シュナイザー】

「ええ、そうよ、あるがままに生きなさい、そうすれば少しだけ楽になれるわよ。」


【シャルロット・ラトロワ】

「イリヤ様。」


【イリヤ・シュナイザー】

「そろそろ行かないと行けないわ、それではごきげんよう、シャルロット。」


【シャルロット・ラトロワ】

「イリヤ様!」


私がイリヤ様を追いかけようとした瞬間、私は目を覚ました。見渡すと自分の部屋だった


【シャルロット・ラトロワ】

「夢?」


私は不思議な夢だなと思いながら、作業をしていると城から使者が来た。大事な話があるという。私は着替えて、城へ向かった


【シャルロット・ラトロワ】

「城なんて久しぶりね。」


城に到着し、父のいる部屋へと案内された。部屋の前に着くと、許しを得て、部屋に入った。そこには父と母と兄がいた


【シャルロット・ラトロワ】

「お久しぶりです、父上、母上、兄上。」


【カエサル・ラトロワ】

「ああ、久しいな。」


【ヤエ・ラトロワ】

「ちゃんと食べてるの?」


【シャルロット・ラトロワ】

「ええ大丈夫ですわ、母上。」


【ウルスラ・ラトロワ】

「何か困ったことがあれば、何でも言ってくれ!」


【シャルロット・ラトロワ】

「分かりましたから、落ち着いてください、兄上。」


私は兄を落ち着かせたところ、父に要件を聞いた


【シャルロット・ラトロワ】

「どうしたのですか?突然の呼び出しなんて。」


【カエサル・ラトロワ】

「うむ、イリヤ・シュナイザー様が亡くなられた。」


【シャルロット・ラトロワ】

「はあ~。」


そういえば夢でイリヤ様は半分死んでると言ったが、本当だったんだなと私は思った


【カエサル・ラトロワ】

「ヤエにとっては大切な御方だったからな。」


【シャルロット・ラトロワ】

「どういうことですか?」


【カエサル・ラトロワ】

「お前は知らないと思うが、イリヤ様はヤエの母方の叔母で、お前にとっては大叔母にあたる人なんだ。」


イリヤ様が大叔母!そういえば母の実家は確か、シュナイザー帝国!


【ヤエ・ラトロワ】

「ええ、叔母様は私を娘のように可愛がってくれたわ、本当に残念だわ。」


そういうと母は涙を流していた


【シャルロット・ラトロワ】

「父上、実は・・・・」


私は夢の事を話した。父上と母上と兄上は最初は半信半疑で聞いていたが、最後は信じるようになった


【カエサル・ラトロワ】

「シャルロット、大叔母様はお前の身を案じて、訪ねてきたのかもしれないな。」


【シャルロット・ラトロワ】

「はい、私もそう思います。」


【カエサル・ラトロワ】

「シャルロット、すぐとは言わぬ、自分自身を許してやれ、お前自身のためにもな。」


【シャルロット・ラトロワ】

「はい。」


その後、私は馬車に乗り、修道院へと向かっていた


【シャルロット・ラトロワ】

「大叔母様、私は忘れません、貴方の事も、そして自分自身を許せる日を。」


その後、シャルロット・ラトロワは世のために人のために尽くし、70年の生涯を閉じるのであった





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

同盟国同士の婚約破棄~再来~ マキシム @maxim2020

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ