第4話
ミカロス城へ向かうスリザリー軍は途中で現地調達を行った。周辺の村々から見れば徴発だが、条件付きであり、勝利した暁には褒美を与えるという証文を与えた。周辺の村々は、もし断れば略奪されると思い、渋々、食糧物質を献上した。現地調達を行った後、真っ直ぐミカロス城へ向かった。途中で敵の奇襲がなく、順調に進軍できたため多少の安心感が生まれたスリザリー軍は意気揚々と現地に到着した途端、新しく大修築されたミカロス城を見て絶句した。約10kmに及ぶ総構えにスリザリー軍は先行きの不安を感じた
【ゴードン・ロイヤル】
「ハハハハハハ、敵は我等を恐れて亀の甲羅を増やしたな!ハハハハハハ!」
ゴードンは高笑いして兵たちの動揺を落ち着かせたが、内心はミカロス城が難攻不落の大要塞になった事に絶望していた。だがここに来て、止まるわけにはいかない!ゴードンは早速、陣形を整えた。魔力砲、魔力投石機、魔力矢部隊を配置した
【ゴードン・ロイヤル】
「放てえええええええ!」
ゴードンの号令で魔力砲や魔力投石や魔力矢が放たれたが、魔力障壁が発動され、魔力砲や魔力投石や魔力矢は完全に防がれてしまった。やむをえずゴードンは兵を繰り出した
【ゴードン・ロイヤル】
「かかれえええええええ!」
ゴードンの号令で兵たちは総構えに乗り込んだが、ラトロワ軍の迎撃と空堀と土塁によって阻まれた。特に空堀は堀幅は16m、深さは10m以上あり、兵士たちは空堀の前で脱落していった。三日立っても、総構えを突破することができなかった。ゴードンは攻撃を辞め、挑発し誘き出そうとした
【スリザリー軍の兵士A】
「やい、腰抜け野郎、お前らは殻に籠った亀か!」
【スリザリー軍の兵士B】
「そうだそうだ、くやしかったらここまで来い!」
【スリザリー軍の兵士C】
「出てこい、城に籠るは男のすることではないぞ!」
スリザリー軍の罵詈雑言にラトロワ軍は・・・・
【ラトロワ軍の将軍】
「士気を上げるためにこちらもお返ししてやれ!」
【ラトロワ軍の兵士A】
「あいつら、飽きずにようやるな。」
【ラトロワ軍の兵士B】
「とりあえず魔力砲でも撃つか。」
【ラトロワ軍の兵士C】
「魔力矢も放つか。」
ラトロワ軍は魔力砲と魔力矢を放ち、罵詈雑言を言うスリザリー軍に浴びせた。死傷者を出したスリザリー軍は一旦、兵を引いた
【ラトロワ軍の将軍】
「思い切り笑ってやれ!」
【ラトロワ軍の兵士たち】
「ハハハハハハハハハハハ!」
ラトロワ軍の将軍の号令でラトロワ軍は一斉に大笑いをした。スリザリー軍は怒り狂い、ゴードンの命を待たず、突撃を開始した
【ラトロワ軍の将軍】
「飛んで火にいる夏の虫だな、放て!」
ラトロワ軍の将軍の号令の下、魔力砲、魔力投石、魔力矢の雨を降らせ、スリザリー軍に甚大な被害を与えた。やむなく撤退を開始したのである
【ゴードン・ロイヤル】
「バカモーーン!なぜ勝手に仕掛けた!」
【スリザリー軍の将軍A】
「敵は我等をコケにしたので・・・・」
【スリザリー軍の将軍B】
「居ても立ってもいられず・・・」
【ゴードン・ロイヤル】
「たわけ!我らが敵の挑発に乗ってどうするのだ!」
スリザリー軍の将軍たちは何も言えず苦虫を噛み締めた表情でうなだれた。スリザリー軍は軍を再編成している一方、大都督シメイ・エルサイム率いる援軍が到着した
【ラトロワ軍の将軍】
「大都督、お待ち申しておりました。」
【シメイ・エルサイム】
「大儀である!それで敵の状況は?」
【ラトロワ軍の将軍】
「はっ!敵はミカロス城の総構えに手も足も出ず、陣に引きこもっています。敵は我等の挑発に乗り一部の軍が突撃してきたので、散々に打ち破りました!」
【シメイ・エルサイム】
「そうか、総構えに阻まれて手も足も出ぬか!ハハハハハハハ!」
スリザリー軍の方もラトロワ軍の援軍が到着したを知った。スリザリー軍は城攻めで甚大な被害を出し、兵たちも疲労困憊していた。ゴードンはやむなく撤退の命を下した
【ゴードン・ロイヤル】
「敵は総構えか、くそ!」
ゴードンは悔し涙を流し、ミカロス城を睨み付けた。殿を残し、こっそりと軍を引いていった。しかしラトロワ軍はそれを逃さず、追撃を開始し、スリザリー軍の殿と激突した
【スリザリー軍の将軍C】
「よいか!絶対に突破させるな!ここは我等の死に場所と心得よ!」
スリザリー軍の殿は、ラトロワ軍の怒涛の猛攻に死力を尽くして防いだが、多勢に無勢、数の暴力には勝てず、全滅したのである。そのまま追撃を開始し、スリザリー軍の後続部隊に攻撃を仕掛けた。後続部隊も攻勢に転じ、ラトロワ軍の追撃部隊に対処したが、先の戦いの疲労困憊していたスルザリー軍の兵士たちは次々と討たれていった。後続部隊が壊滅し、多くの戦利品を入手したラトロワ軍だったが、既にスリザリー軍の本隊はスリザリー王国内に入ってしまい、追撃を中止した
【シメイ・エルサイム】
「多くの敵の首を打ち取り、多数の戦利品を手に入れた!我等の大勝利だ!」
ラトロワ軍は勝ち鬨を上げ、意気揚々とミカロス城へ帰還した。そして戦勝報告の早馬がラトロワ王国へと送った。一方、スリザリー軍はスリザリー王国に到着した時には、すでにボロボロの状態で、それを見ていた国民たちは敗北したことを知り、意気消沈するのである。こうして第一次ラトロワ征伐は失敗に終わったのである
【影武者】
「丞相!いかがいたしましょう!」
【クレイム・ブルック】
「落ち着け!ゴードンは此度の敗戦で驃騎将軍に降格させることにしよう。第二次ラトロワ征伐の際は大将軍へ復帰させる。」
【影武者】
「分かりました。」
大広間にてゴードン・ロイヤルが跪き、一時的だが大将軍から驃騎将軍へ降格処分となった。だがスリザリー軍の指揮は今まで通り、ゴードンの手に委ねられた。クレイムは第二次ラトロワ征伐のために国力回復に全力を注ぎ、兵たちの訓練も行った。しかし王国内ではまたラトロワ討伐が始まるのかと不満を抱いていたのである
一方、ラトロワ王国では勝利したことで国中がお祭り騒ぎになっていた。カエサルも大変満足し、多くの褒美と感状をミカロス城にいる将兵たちに送ったのである。修道院にいるシャルロットにも戦勝報告が届いたのである
【シャルロット・ラトロワ】
「そう勝ったのね。」
【使者】
「はい、陛下も大変ご満足しております。」
【シャルロット・ラトロワ】
「ご苦労様、下がっていいわ。」
【使者】
「はは!ではこれにて失礼いたします。」
使者は一礼し、部屋を退出した後、シャルロットは悲しげな表情を浮かべた
【シャルロット・ラトロワ】
「分かってはいたけど、やはり人の死は慣れないわ。」
シャルロットはミカロス城のある方角へ祈りを捧げるのであった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます