概要
わずかな時間だったけれど、激しく惹きつけられあう二人。けれど想いを叶えるためにロディーヌは別れを選択する。
やがて念願を果たし帰郷する兄妹たち、しかし二度と会うことはないだろうオワインを想ってロディーヌの胸は塞ぐばかり。一方、祖国に戻ったオワインもロディーヌへの想いを断ち切れず、聖獣・黒豹のジュールと共に泉の王国を目指す。
彼ら二人の屈折した過去の心境や苦難の時期、襲いかかる驚異の自然現象。疫病に災害に、生きることは簡単ではないけれど、それでも愛する人がいるならば……。
はるかなる神話の世界に端を発し、
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!兄たちがカラスに変えられたことも含め、全ては始まりに過ぎなかった。
1 物語の始まりは
門の前で、簡単に開けられない鍵を開けようとしている場面から始まっていく。枝などで開けようとするも、ぽきりと折れてしまい門は固く閉ざされたまま。途方に暮れていたが、ふと自分の指を見て鍵穴に差し込んでみるのだった。
2 七羽のからすという物語について
【概要】
7の息子を持つ農夫がいた。何故かどんなに望んでも女の子が産まれて来なかった。しかしある時やっと女の子を授かることができた。しかし彼女は病弱であり、自分たちで洗礼するしかなかった。彼は子供たちに水を汲んでくるように言いつけるが、彼らは我先にと水を組もうとしたため、水差しを井戸に落としてしまいました。帰るに帰れなった彼ら…続きを読む - ★★★ Excellent!!!とても細やかに描かれる心情描写が魅力!
呪われて鴉になってしまい、何処かへ消えてしまった兄たちを探す旅に出るところから始まる物語。
主人公ロディーヌと、旅先で出会った他国の将軍オワインとの恋の物語でもあります。
…とはいいつつあらすじにある通り、呪い・疫病・自然災害など、立ち塞がる様々な壁に苦慮し立ち向かう姿も。なかでも疫病は、現在コロナウイルスで苦しむ私達の状況とも重なり、共感する部分でもあります。
遥か昔のおとぎ話や両親の若かりし頃の話なども語られますが、「ここまでいるの!?」というくらいじっくりと細やかに描かれていて、様々な物語を一度に読んだようなお得な気分も味わえます。
そして、それらのエピソードは最後までしっかりと効…続きを読む - ★★★ Excellent!!!まるで詩のように謳われる物語
綴られた文章の文字運びが個性的で、とにかく優雅です。
そしてものすごく詩的。
凄惨にも思える出来事も、悲しい出来事も、恋焦がれる情景も、全てがとにかく美しい。物語は骨太でしっかりしていて、濃いというのに、重くは感じず、1話1話に、煌めく風景の情景が見えてしまうという。
そして色の表現がとにかく素晴らしい。描き出される風景から、その色を感じます。とにかく主人公の醸し出す”青”が綺麗。
かなりの文字数でボリュームもありますが、1話1話が描き出す場面がとにかく美しいので、物語を焦って追う事ではなく、この雰囲気に浸りながらゆっくり読み進めたい魅力があります。