お〜つきケンヂ的オカルティック幻想譚

全三篇の特に関連しない掌編群。よくわからないまま最後まで読んでしまった。
すごいのはわかるが内容がよくわからない。よくわからないがすごいのはわかる。
多分これは幻想小説的文脈に東浩紀『動物化するポストモダン』みたいなサブカルチャー世界を合体させたのだと思う。
作者はアナロジィの力で神話や文化からサブカルへ、サブカルから神話や文化へと飛び回る。
それは虚実をトランプの札のごとく混ぜ合わす手段でもある。
強いて言えば真・女神転生や初期のペルソナみたいなだなと思う。
アレも人類学や神話的なモチーフとオカルト、SFをあえてチープに混ぜ合わせているから。
あるいは大槻ケンヂみたいだなと思う。
それはもう語り口から。独特なユーモアから。
彼はオカルトとかゾンビとか今で言う電波系の女の子とかいうようなモチーフを多用するから、そこが似ている。

文章の読みやすさから言って第三話→第二話→第一話の順に読むのが良い。