全裸中年男性というよくわからない生き物

全裸中年男性というタームがいつのまにやらネット上のあらゆる場所で使われ始め、
取り残されたような気持ちになった。
全裸中年男性はもう一年か二年ほどの歴史を持つ概念だが、未だに私はその正体を知らない。

全裸中年男性の知識を取りこぼしたまま放置したツケとして今「全裸」「中年」「男性」の小説を苦心しながら読んでいる。

どうもこの小説における全裸中年男性は大変なサウナ好きらしい。そういうキャラクターだったのかなぁと思う。
しかも似たような顔をしていて揃って禿げているらしい。まあそんなものかと思う。

一年か二年程前にサウナが流行った。
アレには一種の狂気染みたところがあったと今でも思う。
「ととのう」なる不可解な語の正体は謎だが、「サウナへ行って脳や体をイジメると気持ちいい」という麻薬的な雰囲気が篭っている。

「サウナ救世譚」もまたそうしたアブない時代の流れから生まれた作品である。
「全裸」「中年」「男性」概念をそのままに出力してしまえばおぞましい怪物の群れだ。
しかし「全裸中年男性ごっこに興じる全裸の若者」が実の所ネット上には相当数いる。
「ああ、アイツも全裸中年男性になっちまった!」あるいは「アイツもサウナで"ととのっちまった"!」という気持ちでSNSを閲覧したことがある。

全裸中年男性をあくまで身近なものとして捉えつつ読む時、「サウナ救世譚」もまた一段と面白味を増してくるのではないか。

その他のおすすめレビュー

妄想機械零零號さんの他のおすすめレビュー101