常に空色が見えています
- ★★ Very Good!!
誰もいない謎の街、空に浮かぶ建物、そこにやって来た主人公の少女…と、ファンタジーが持つ意味の内、不思議をとても色濃く感じられる物語です。
読み進める内に謎が深まり、そして集束していく展開は皆の気持ちを引っ張ることでしょうが、私は別のものが見えていました。
空の色なのです。
一人称で綴られた物語ですが、何故かいつも登場人物を足下から見上げ、空をバックにしているような、そんな感覚に陥ります。
登場人物の声が身近に聞こえ、とても近い距離で見ているように感じつつも、全てを俯瞰しているものがある気がしました。
青空だったり、宵だったり、夜だったりする空の存在が見えてきます。何もしてくれないし、いつも代わらないくて。
それは少し不思議な感覚で、この物語のファンタジー色を強くしてくれている…というような事が浮かびました。