概要
告白に特別な言葉はいらない
朝って良いですね。今日のはじまりを告げる匂いが、僕たちの心を満たしてくれます。この物語に出てくる少年も、その朝に満たされ……ん? 彼の場合は、少し違うようです。朝の光がほのかに漂う時間、いつもの散歩道を黙々と歩いています。心の不安と戦いながら、そして、今までのことを振りかえりながら。彼はある少女に自分の想いを告げるため、約束の場所である公園へと向かうのでした。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!企画入賞レビュー「少年の初恋」
素朴だけど心に沁みる。恋愛というものがどういうものであるか、その真髄を描き切った短編。内容は至ってシンプルで初恋に落ちた少年が勇気を振り絞って告白するまでを描いたものである。手垢に塗れたなんてもんじゃない。ファンタジーでいえば「囚われのお姫様を助けに行く」くらいにありふれた物語だ。
余程腕に自信がなければこの題材で書けるものではない。
いったい何をもってこの作者さまは凡百の作品群から抜きん出ようというのか?
丁寧な段階を踏んだ心理描写と王道であるがゆえのシンパシーがその答えだ。
大人には「そうだよね」と共感を与え、ノスタルジーに浸らせる。まだ恋を知らぬ子どもには「貴方の歩もうとする道はこ…続きを読む