レス・レ・エグズ・イグニス

【呪術使いの少年は、ただ一人のために魔法使いを夢見る】
長らく、魔法使いと呪術使いが対立する世界、グレイスフィア。魔法使いは呪術を嫌い、呪術使いは魔術を嫌っていた。
　魔法至上主義の国アルフネスが誇る魔法使いのエリート集団、魔法騎士団。副長であるイグニスには頭を悩ませていた。来年騎士学校を卒業して騎士団に入団予定の弟、サモンの存在だ。弟可愛さから戦いから避けさせたかったイグニスの意図を無視して、サモンは姉のような魔法騎士となるべく騎士団に入団する。そこにはサモンの大きな秘密があって――。
　そんなある日、イグニスのもとを訪れたサモンから、彼女は衝撃的な事実を伝えられる。
「姉さん、僕は……呪術使いなんだ」
自らを敵国の呪術使いと名乗るサモン。それを聞いたイグニスは――。
呪われた過去を祝福される未来に変えていく、新しい英雄譚。