第9話

ごきげんよう、セシリア・シークハルトです。あれから月日が立ち、ついにこの日がやって来た。そう、今日は文化祭の日である。私の学園生活最後の文化祭、ここで失敗するわけにはいきません!


【セシリア・シークハルト】

「よし!頑張るぞ!」


私は真っ先に部室へ行くと、アーシアが先に来ていた


【アーシア・インジェント】

「お姉様、ごきげんよう!」


【セシリア・シークハルト】

「ごきげんよう、アーシア。」


アーシアは私の演じる王子の恋人役ヒロインをやることになるのである


【アーシア・インジェント】

「お姉様、改めてよろしくお願いします!」


【セシリア・シークハルト】

「こちらこそ、よろしくね。」


【シルビア・レイン】

「ごきげんよう、セシリア様、アーシア。」


【エリナ・アーカード】

「ごきげんよう、セシリア様、アーシア」


後から、シルビアとエリナが入ってきた


【セシリア・シークハルト】

「ごきげんよう、シルビア、エリナ。」


【アーシア・インジェント】

「ごきげんよう、シルビア様、エリナ様。」


【シルビア・レイン】

「今日で私たち3年の最後の文化祭ですね。」


【エリナ・アーカード】

「セシリア様との舞台も今日までなんですね。」


【セシリア・シークハルト】

「ええ、だからこそ、今日は思い出に残る最高の舞台にしましょう!」


【シルビア&エリナ】

「はい!」


【アーシア・インジェント】

「お姉様。」


【セシリア・シークハルト】

「アーシア、今日は私たちの最後の舞台、お願いね。」


【アーシア・インジェント】

「うう。」


【セシリア・シークハルト】

「アーシア?」


【アーシア・インジェント】

「お姉様とも最後の演劇なんですね、寂しいです!」


アーシアは堪えきれなくなったのか涙があふれていた


【セシリア・シークハルト】

「アーシア。」


私はアーシアを優しく抱きしめた


【セシリア・シークハルト】

「私もアーシアと別れるのはつらいわ、でも永遠に会えないわけじゃないわ。」


【アーシア・インジェント】

「お姉様。」


【セシリア・シークハルト】

「お願いアーシア、私たちの最後の舞台、だから力を貸して。」


【アーシア・インジェント】

「はい!」


私にとっての学園生活最後の演劇、必ず成功させるわ!セシリアがそう決心した一方、王宮では・・・・


【ノエル・シュヴァリエ】

「聖ロイヤル女学園へ行く。」


【乳母】

「なりません、ご遠慮くださいませ。」


【ノエル・シュヴァリエ】

「なぜだ!」


【乳母】

「陛下は殿下の監視をしています。隙あれば殿下の失態を待っているのです。」


【ノエル・シュヴァリエ】

「あい分かった。」


【乳母】

「そういっていただけるとありがたい・・・・う。」


乳母の首の側面にノエルは手刀を食らわせ、気絶させた


【ノエル・シュヴァリエ】

「私は愛しの人と会える最後のチャンスなんだ、悪く思うな。」


そういうとノエルは秘密の抜け穴を使い、王宮を出た。そして馬を盗み、聖ロイヤル女学園へと向かうのである


【ノエル・シュヴァリエ】

「待ってろ!我が愛しの人!」


セリシアは部員たちを集めた


【セシリア・シークハルト】

「みんな、今日の舞台、必ず成功させるわよ!」


【部員】

「はい!」


【セシリア・シークハルト】

「思えば、長かったような短かったような学園生活でした。貴方たちとの学園生活とも、今日の舞台が終わった後でお別れです。」


私がそういうと何人は堪えきれず涙を流していた


【セシリア・シークハルト】

「これから2年、3年に進級する皆様は演劇の情熱を忘れず、来年から入学する後輩たちに演劇の素晴らしさを教えてあげてください!」


【部員」

「はい!」


【セシリア・シークハルト】

「そして私の後任を発表します!」


部員は固唾を飲んだ


【セシリア・シークハルト】

「アーシア・インジェント、貴方を部長に任命します!」


【アーシア・インジェント】

「私がですか!私には荷が重すぎます!」


【セシリア・シークハルト】

「アーシア、私も最初は不安だったわ、でもみんなの力を借りて、ここまでやってきたわ!それに貴方は努力家でみんなの信頼を得ているわ!だから貴方を部長に任命するのよ!」


【アーシア・インジェント】

「お姉様・・・・・分かりました。部長の任、お引き受けします!」


【セシリア・シークハルト】

「ありがとう、アーシア。みんなもいいわね!」


【部員】

「はい!」


【セシリア・シークハルト】

「みんな円陣を組むわよ!」


【部員】

「はい!」


私たちは円陣を組んだ


【セシリア・シークハルト】

「さあ、今日の舞台、楽しんでいくわよ!えい、えい!」


【部員】

「おーーーーーー!」


【セシリア・シークハルト】

「さあ、行くわよ!」


【部員】

「はい!」


私たちは最後の舞台へと向かった


【ノエル・シュヴァリエ】

「間に合った。」


聖ロイヤル女学園に到着し、馬を降りたノエルは真っ先に入った


【ノエル・シュヴァリエ】

「待ってろ!愛しの人!」


ノエルは愛しの人を探している一方でセシリアとアーシアの二人だけの芝居に入っていた


【セシリア・シークハルト】

「我が愛しの人よ、私と是非、ワルツ(ダンス)を!」


【アーシア・インジェント】

「はい!」


そこから音楽が鳴り、二人はワルツ(ダンス)を優雅に踊っていた。そんな二人のワルツ(ダンス)に見惚れる観客と部員、アーシアにとっては念願のセシリアと一緒に舞台に立った瞬間なのである。すると二人は小声で会話をした


【セシリア・シークハルト】

「アーシア、緊張してる?」


【アーシア・インジェント】

「いいえ、お姉様とご一緒なら怖くありません。」


【セシリア・シークハルト】

「そう、アーシア。」


【アーシア・インジェント】

「はい。」


【セシリア・シークハルト】

「楽しかったわ。」


【アーシア・インジェント】

「私もです、お姉様。」


そろそろフィナーレの音楽が鳴り、二人のワルツも優雅な動きから激しい動きへと変わった、そして音楽が終わった瞬間、二人は決めポーズをし終了した


【ジュリア・ダグラス】

「ブラボー!」


観客席にいたジュリアが掛け声をあげた瞬間、スタンディングオーベーションが起きた。セシリアにとっては2回目のスタンディングオーベーション、アーシアにとっては初めてのスタンディングオーベーションに心踊らせた瞬間・・・・


【ノエル・シュヴァリエ】

「見つけたぞ!愛しの人よ。」


舞台に上がってきたのは、何とノエル・シュヴァリエだった。すると観客がざわついた。観客だけではなく部員たちも突然のノエル王太子のお出ましに驚いた


【セシリア・シークハルト】

「殿下!(何でここにいるのおおおおおおおお!)」


一番驚いたのはセシリア本人である。まさか、ここまで来てアーシアを追ってきたのか!するとノエル王太子が近づいてきた


【ノエル・シュヴァリエ】

「さあ、私の愛しの人よ、私の妃になっておくれ!」


ノエル王太子が手を差し伸べた。差し伸べた相手は・・・・


【セシリア・シークハルト】

「(私イイイイイイ!)」


ノエル王太子が愛しの人と言っているのは何と私だった!なんで、なんで!


【ノエル・シュヴァリエ】

「君を一目見たときから私の心は君に夢中だ!さぁ、私の妃になっておくれ!」


ノエルはプロポーズされた私は・・・・


【セシリア・シークハルト】

「殿下、大変有難い仰せでございますが、御辞退いたします!」


私はきっぱりと断った


【ノエル・シュヴァリエ】

「なぜだ!」


まさか断られるとは思っていなかったのか声を荒げた


【セシリア・シークハルト】

「私は一度、殿下との婚約を辞退しております。一度、辞退した以上、シークハルト公爵家の考えは変わりません!」


私個人でなく、家全体の総意をはっきりと述べた


【ノエル・シュヴァリエ】

「・・・・あい分かった。」


意外と聞き分けが良く、婚約の辞退を受け入れた


【ノエル・シュヴァリエ】

「では君に婚約を申し付ける!」


すると今度はアーシアに向けてプロポーズをした。おいおい、見境がないのかよ


【アーシア・インジェント】

「せっかくですが、お断りいたします!」


アーシアもはっきりと断った


【ノエル・シュヴァリエ】

「なぜだ!」


おいおい、またそれかよ。もういい加減しろよ


【アーシア・インジェント】

「私は誠実な御方が好きなのです!恐れながら貴方のような軽薄な御方の下には嫁ぎたくありません!」


おいーーーーー!それはあまりにも露骨すぎるよ!


【ノエル・シュヴァリエ】

「おのれ!一度ならず二度までも私に求婚を断りおって!」


ノエル王太子はカンカンになって怒ってるよ。すると懐から短刀を取り出し抜こうとした。このままでは不味いと思い、私は・・・・


【セシリア・シークハルト】

「恐れながら殿下。」


【ノエル・シュヴァリエ】

「何だ!」


【セシリア・シークハルト】

「衆人環視の下で、これ以上、恥を晒すのはみっともないですわよ。ましてや短刀を抜けばどうなるか分かりますよね。」


私の言ったことにノエルは我に帰り、冷静になる。ノエルは辺りを見渡した後、顔を真っ赤にして・・・・


【ノエル・シュヴァリエ】

「見るでない!」


そういうと、その場から離れようとした瞬間、何もないところで、ずっこけた。そんなノエルの姿を見た観客席は・・・・


【観客】

「アハハハハハハハハハ!」


観客席は爆笑の嵐だった


【ノエル・シュヴァリエ】

「笑うな!」


ノエルは顔を真っ赤にして言い放ったが、笑いは止まらなかった。そして私たちの方を見て・・・・


【ノエル・シュヴァリエ】

「くっ!覚えておれ!」


帰ろうとすると、何もないところなのに、再びずっこけてしまった


【セシリア・シークハルト】

「ぷっ!」


【アーシア・インジェント】

「ふふふ。」


二度転ぶノエル王太子の姿に私とアーシアは思わず笑ってしまった


【ノエル・シュヴァリエ】

「笑うな!」


そういうと、駆け足で会場を出たのである


【観客】

「情けねぇ!二度も転ぶとは、アハハハハハハハハハ!」


【ジュリア・ダグラス】

「ふふふ、最高ですわ、殿下!」


ノエルの醜態を見て、胸の中がスカッとしたジュリアであった


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る