第7話
【シルビア・レイン】
ごきげんよう、シルビア・レインです。私はレイン侯爵家の令嬢として生を受けました。突然ですが、私には気になっている御方がいます。その御方の名はセシリア・シークハルト公爵令嬢、私の幼馴染でございます。シークハルト公爵家とレイン侯爵家は遠い親戚の間柄であり、初めて対面したのはお茶会のときでした。セシリア様は公爵家の御令嬢でありながら、私に親しくお声をかけていただきました。そこからセシリア様と友人として交流を深めました。ある日、私はセシリア様のお部屋である本を見かけました。それは「白百合の姉妹」、男女問わず同性愛者の間で絶大な人気を誇る名作でした。セシリア様は大層なお気に入りでよく読んでいるそうです。もしかしてセシリア様は同性愛に興味があるのでしょうか。もし、そうだったら私は大歓迎です!実は私も「白百合の姉妹」の大ファンであり同性愛に興味を抱いていました。もしセシリア様が私の運命のお相手だったら・・・・
そんな私にもセシリア様の他に友人がおります。その御方の名はエリナ・アーカード伯爵令嬢、この御方は私と同じ匂いがします。もしかしたら、セシリア様を・・・・
更にセシリア様を慕って聖ロイヤル女学園に入学したアーシア・インジェント男爵令嬢、いつのまにかセシリア様と姉妹の契りを結んでおり、ますますライバルが増えていく、負けてはいられません!セシリア様の正妻の座は誰にも渡しません!
【エリナ・アーカード】
ごきげんよう、エリナ・アーカードです。アーカード伯爵家の令嬢として生を受けました。実は私、ある御方に恋心を抱いております。その御方の名はセシリア・シークハルト公爵令嬢、私の幼馴染です。私とセシリア様と出会うきっかけは「白百合の姉妹」です。私はどちからというと社交的な方ではなく、一人で本を読むのが好きな方でした。そこへひょっこりと現れた私と同い年の女の子と出会いました。その御方こそ、セシリア様でした。セシリア様は私の近づき、私の読んでいる本について聞いてきた。私は正直に教えると、何とセシリア様も同じ本を読んでいたことが分かりました。それがきっかけでセシリア様と友人関係になりました。セシリア様が「白百合の姉妹」を読んでいるということは、もしかして同性愛に興味があるのでしょうか?「白百合の姉妹」は男女問わず同性愛者との間で絶大な人気を誇っている。もしセシリア様が同性愛者なら、いつか私と・・・・
そんな私にライバルが現れました。その御方の名はシルビア・レイン侯爵令嬢、何と「白百合の姉妹」を本を持っており、セシリア様とは親しい間柄でした。なぜかしら、シルビア様からは私と同じ匂いがした
更にセシリア様を慕って聖ロイヤル女学園に入学したアーシア・インジェント男爵令嬢、いつのまにかセシリア様と姉妹の契りを結んでおり、ますますライバルが増えていく。相手が誰であろうとも負けるつもりはありません。待っていてください、セシリア様!
【アーシア・インジェント】
ごきげんよう、アーシア・インジェントです。私の実家は貴族ではなく商家の出で祖父が貴族への憧れを抱き、大金で男爵位を買い取ったことがきっかけでインジェント男爵家を創設しました。男爵位ですが、我が家は豪商ごうしょうで、資産が豊富で手広く商売をしていたので他の男爵家よりも大変裕福な暮らしをしていました。ですが「成り上がり者」「金買い男爵」と妬み嫉みを受けることもありました。そんな私には2つ趣味がありました。一つ目は読書です。お気に入りの本は「白百合の姉妹」です、この本は男女問わず同性愛者の間で絶大な人気を誇っています。私はこの本の主人公の公爵令嬢が大好きで、いつか私の下にも白馬の令嬢様が現れることを夢見ていました。もう一つの趣味は劇を観賞することです。子供のころ、祖父に連れられ、よく劇を観賞しました。役者一人一人の演技力と躍動感に感動いたしました。そして私が15歳になったころ、聖ロイヤル女学園が行われる劇を見に行きました。そこへ運命の出会いを果たしました。そう、初舞台で王子様を演じたセシリア・シークハルト公爵令嬢です。セシリア様の神々しさと美しさに私は思わず見惚れてしまい、いつかこの御方と一緒の舞台に立ちたいと心に決めました。私は両親に聖ロイヤル女学園への入学を志願しました。両親も快く承諾してくれました。ようやく聖ロイヤル女学園への入学が叶いました!そして部活の勧誘会で私は真っ先に劇場部の勧誘会へと向かいましたが、セシリア様がおりませんでした。私は辺りを探し回り、ようやく見つけました。私はセシリア様に演劇部に入部したいと志願いたしましたが、セシリア様から見学をするよう言われ、見学会を拝見しセシリア様の演技力に私は感動いたしました。早速、私は演劇部に入部し、セシリア様に近づけるよう頑張りましたが、それが仇になったのか、他の御令嬢の方々から陰口や苛めを受けていました。でもそれも長くは続きませんでした。セシリア様が私を助け、苛めを行っていた御令嬢の方々を学園から追放し、私への苛めも止みました。私は心の底からセシリア様への想いが強くなっていきました。その第一歩として私はセシリア様と姉妹の契りを結ぶことができました。先輩であるシルビア様、エリナ様はいい人たちですが絶対に負けません。セシリア様は私だけの白馬の令嬢様です!
【ジュリア・ダグラス】
ごきげんよう、ジュリア・ダグラスです。ダグラス公爵家の令嬢として生を受けました。私には密かに気になっている御方がいる。その御方の名はセシリア・シークハルト公爵令嬢、私と同じ公爵家の御令嬢です。実はお忍びで聖ロイヤル女学園の劇に足を運んだことがあり、そこでセシリア様の初舞台を拝見いたしました。初舞台とは思えないセシリア様の演技力に私は思わず見惚れてしまいました。セシリア様が私の婚約者で殿方だったらどれほど、良かったことか!実は私の婚約者はこの国の王太子であるノエル・シュヴァリエ殿下です。しかし殿下との間には愛がなくいわば政略結婚でした。王妃教育は厳格で殿下の母上である王妃様によく叱られ、何度も婚約を白紙にしたいと常々思っていました。私は密かにセシリア様を我が邸宅に招き、お茶会の名目で以前から気になっていた殿下との婚約を辞退したこと、この国で有名な占い師を招いた事を尋ねましたが、最もらしい理由をいい、退けました。さすがはセシリア様、そう簡単には尻尾を出さない。もう私は我慢できずに両親に訴えました。父は此度の婚約を後悔しており、母は此度の婚約自体には反対でしたので、婚約解消に向けて暗躍しました。ノエル王太子殿下の最大の庇護者である王妃様を暗殺し、ようやく婚約を白紙にすることに出来ました。今にして思えば命綱なしで綱渡りをしていたような気分でした。もう一度セシリア様をお茶会に招き、再びあの事を問いただしたところ、セシリア様は白状しました。私も占い師を頼れば良かったと今更ながらに後悔しましたが、おかげでセシリアと友人関係を結ぶことが出来ました。何とセシリアは「白百合の姉妹」を愛読していました。実は私も「白百合の姉妹」を愛読しており、密かに同性愛に興味がありました。この国には同性婚が認められており、私の心中はセシリアとの結婚生活を夢見ていました。噂ではセシリアを恋慕うご令嬢方がいるみたいで私も負けるわけにはいきません!私の愛しの王子様、私を是非、貴方の妃にしてください!
そのころ4人の御令嬢が恋い慕うセシリアはというと・・・・
【セシリア・シークハルト】
「あぁ、カレー食いてぇ。」
1人、前世の記憶にあったカレーライスを思っていた・・・・
ごきげんよう、セシリア・シークハルトです。自分でもなぜそう言ったのか分かりませんが無性にカレーライスが食べたくなりました。実は私、カレーライスが大好きです!えっ、突然何を言っているのかって、カレーライスが久しぶりに食いたくなってきたのよね
前世の私はよくカレーライスを作っていました!カレーライスは大人も子供も大好きな一品です。カレーライスの前ではみな笑顔になれる魔法の一品です!こちらの世界に来てからは、台所に立つ機会が減ってます。まぁ、高貴な令嬢が料理すること自体、まずありません。でも我慢できません!そこで私は公爵家に仕える料理人たちを説得して何とか厨房に立つことができました。久しぶりの料理なので緊張してます
さすがに全部は無理なので豚肉と玉葱と馬鈴薯と人参とリンゴの処理は料理人たちに任せた
カレールーですが、幸いにもこちらの世界には「ターメリック粉」や「レッドペッパー粉」や「コリアンダー粉」やセリ科の仲間の「クミンシード」という4つのスパイスがあるのでカレールーが出来ます!
材料である豚肉や人参や馬鈴薯や玉葱、水と菜種油、隠し味にリンゴと蜂蜜、そして米、こちらの米は小粒で粘り気は少ないけどあっさりした味です
さて料理人が処理した玉葱と人参と馬鈴薯と豚肉とすりおろしたリンゴが運ばれてきました
カレールー作りの材料は包丁で細かく刻み、最後は石臼で擂り潰して混ぜて完成です
こちらの世界には圧力鍋がないのでフライパンで代用します。フライパンに菜種油を入れて、そこに豚肉を入れて色が変わるまで炒め、次に玉葱を入れて透き通るくらい丁寧に炒めた
そこに馬鈴薯と人参を混ぜて、丁寧に混ぜて、そこから水を入れて、混ぜます。沸騰したらアクを取る。10分以上立ったら一旦火から離して自家製カレールーを入れてかき混ぜ、隠し味のすりおろしたリンゴと蜂蜜を入れかき混ぜる
10分ほど火で煮詰めて、時々味見をしました。味の方はカレーです。やっと完成した!
予め煮ておいた米と一緒に食べることにしました。うーん、前世のカレーライスに近いですが自家製カレールーの独特のスパイスが利いているがコクとまろやかさもあります!いつの間にか料理人たちが私の横でメモを取っておりカレーライスのレシピを作成していました
両親の他にいつのまに来たのかシルビアとエリナとアーシアたちがやって来て・・・
【セシリア・シークハルト】
「私が作ったカレーライスですわ。」
私が言ったら驚いてました。試しに食べさせたら・・・
【シークハルト公爵】
「美味い!こんな美味な物は初めてだ!」
【シークハルト公爵夫人】
「こんな美味しい料理を貴方、どこで身に着けたの?」
【セシリア・シークハルト】
「まあ、急に頭に浮かんだので試しに作ってみました。」
【シルビア・レイン】
「セシリア様の御作りになったカレーライスという料理は最高です!」
【エリナ・アーカード】
「これほど美味しい料理は生まれて初めてです!」
【アーシア・インジェント】
「お姉様お手製のカレーライス、最高です!」
みんなが口々に美味しいと絶賛していました。それから数日後、ジュリアからの招待を受け、何だろうと思いきたら・・・・
【ジュリア・ダグラス】
「セシリアお手製のカレーライスという料理を食べてみたいですわ。」
私はもう一度、カレーを作る羽目になったがジュリアからも美味しいと絶賛したので良しとした。やがて、このカレーライスが国内外にも伝わり、人々は【セシリアカレー】と呼び、国民食になるとはセシリアは知るよしもなかった
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