第10話(閲覧注意)

※残酷な描写あり


ノエル・シュヴァリエは大恥をかき、馬に乗って王宮へと向かっていた


【ノエル・シュヴァリエ】

「おのれ!あの者たちを必ずや厳罰にしてやる!」


ノエルは復讐を胸に抱きながら、王宮へ到着した瞬間・・・・


【兵士長】

「殿下、お待ちしておりました。」


兵士長率いる警備兵たちが出迎えた


【ノエル・シュヴァリエ】

「何事だ!」


【兵士長】

「すぐに広間へ来るよう陛下の命でございます!」


【ノエル・シュヴァリエ】

「父上が?すぐに行かねばならぬのか?」


【兵士長】

「はっ!すぐに来てもらいます!」


【ノエル・シュヴァリエ】

「あい分かった。」


ノエルは馬を降りて、警備兵たちに連れられて王宮の広間へと案内された


【ノエル・シュヴァリエ】

「ちょうどいい、聖ロイヤル女学園での一件を報告してあの者たちを罰してもらおう。」


ノエルは意気揚々と広間へ向かった。広間へ行く扉の前に到着すると・・・・


【兵士長】

「ここでお待ちを。」


先に兵士長が中に入った後、兵士長が出てきた


【兵士長】

「どうぞ、お入りください。」


ノエルは広間に入った瞬間、ただならぬ雰囲気を感じ取った。玉座に座る父の厳しい視線がノエルに突き刺さった


【ノエル・シュヴァリエ】

「父上、お呼びでございますか?」


【ミカエル・シュヴァリエ】

「どこに行っていた?」


【ノエル・シュヴァリエ】

「聖ロイヤル女学園へ行っていました。」


【ミカエル・シュヴァリエ】

「何をしに?」


【ノエル・シュヴァリエ】

「文化祭を鑑賞いたしました。」


【ミカエル・シュヴァリエ】

「乳母を気絶させといてか?」


【ノエル・シュヴァリエ】

「それは乳母が悪いのです。私の生きがいを奪ったのですから。」


【ミカエル・シュヴァリエ】

「はあ~。」


国王はため息をついた


【ノエル・シュヴァリエ】

「それよりも聞いてください、聖ロイヤル女学園の女生徒が私を王太子と知りながら、数々の無礼を働きました、父上のお力で一族連座で死刑にしていただきたい!」


【ミカエル・シュヴァリエ】

「女に降られた腹いせか?」


【ノエル・シュヴァリエ】

「いいえ、私に対し、無礼を働いたので罰していただきたいのです。」


【ミカエル・シュヴァリエ】

「たかが女に降られただけで死刑とは、全く情けない。」


【ノエル・シュヴァリエ】

「父上、実の息子が恥をかかされたのです。親として黙って見過ごすのですか!」


【ミカエル・シュヴァリエ】

「自業自得ではないか。ましてや丸腰の女性に対して短刀を抜こうとしたそうではないか。」


【ノエル・シュヴァリエ】

「だから、あの女が私に無礼を・・・・」


【ミカエル・シュヴァリエ】

「全てはお前の実から出た錆だ、お前は王太子としても男としても失格だ!」


するとノエルはカッとなり国王を罵った


【ノエル・シュヴァリエ】

「何!それでも親か!恥を知れ、腰抜けが!」


【ミカエル・シュヴァリエ】

「恥知らずはお前の方だ!お前は私の忠告を聞かずに好き勝手に振る舞い、あまつさえ此度の所業、次期国王の器にあらず!」


【ノエル・シュヴァリエ】

「黙れ!母上がいなくなった途端に強がりやがって!クソオヤジ、貴様は国王失格だ!」


【ミカエル・シュヴァリエ】

「親に対しなんたる口の聞き方だ!ノエル、お前のようなクソガキは息子ではない!」


【ノエル・シュヴァリエ】

「ああ、そうかい!私も貴様を父親と思ったことすらねえよ!」


【ミカエル・シュヴァリエ】

「何だと!」


【ノエル・シュヴァリエ】

「母上の操り人形が!大人しく操られればいいんだよ!」


【ミカエル・シュヴァリエ】

「もう良い!今日よりお前は王太子の座を剥奪、平民に降格の上、国外追放を命じる!お前とは義絶だ!」


【ノエル・シュヴァリエ】

「貴様!私を追放するのか!」


【ミカエル・シュヴァリエ】

「貴様の顔など見たくもないわ!衛兵、こやつを連れていけ!」


衛兵がノエルを取り囲み、押さえ込んだ


【ノエル・シュヴァリエ】

「くっ! 」


【ミカエル・シュヴァリエ】

「無様だな、ノエル。」


【ノエル・シュヴァリエ】

「ぐぐぐ。」


【ミカエル・シュヴァリエ】

「目障りだ、連れていけ!」


衛兵がノエルを連行しようとした瞬間・・・・


【ノエル・シュヴァリエ】

「ふん。」


ノエルは前方にいる衛兵の足を思いきり踏んだ


【衛兵】

「ぐっ!」


衛兵は一瞬、怯んだ隙に、ノエルは衛兵の顔を殴り、槍を奪った


【ノエル・シュヴァリエ】

「食らえ!」


ノエルは国王に向けて槍を投げた・・・・ブスッ!


【ミカエル・シュヴァリエ】

「ぐっ!」


槍はそのまま国王の左胸に突き刺さった。左胸から血を流し、国王は膝をついた


【衛兵】

「陛下!」


衛兵はあまりの事に驚き、動きが止まった


【ノエル・シュヴァリエ】

「おらああああああ!」


ノエルは護身用に持っていた短刀を取り出し、そのまま突撃し国王を組伏せた


【ミカエル・シュヴァリエ】

「ぐううう!」


ノエルの短刀が国王の喉に突き刺さった


【ミカエル・シュヴァリエ】

「ぐふっ!」


止めを刺された国王は、そのまま息絶えた


【ノエル・シュヴァリエ】

「あはははははははは!」


ノエルは高笑いをし、衛兵に向かって叫んだ


【ノエル・シュヴァリエ】

「今日からこの私が国王だ!これからは私が王国を支配するんだ!」


ノエルは実の父を殺し、国王の座を手に入れたのだが・・・・


【兵士長】

「よし、手筈通りやれ。」


【衛兵】

「はっ。・・・・陛下が平民に殺されたぞ!謀反人を殺せ!」


衛兵たちは一斉に剣を抜いた


【ノエル・シュヴァリエ】

「まて!私は国王だぞ!私に刃を向ければ貴様らは死罪にする!」


【兵士長】

「黙れ!陛下は貴様を平民に降格したのだ!その平民が国王陛下を殺したとあらば貴様を誅殺する!」


【ノエル・シュヴァリエ】

「ま、まて!話せば分かる。」


【兵士長】

「掛かれ!」


兵士長の号令で衛兵たちはノエルを取り囲んだ。もう後がないと覚悟を決めたノエルは必死で短刀を振り回したが、多勢に無勢、衛兵の刃にかかった


【衛兵】

「死ねえええええええ!」


【ノエル・シュヴァリエ】

「ぐううううう!」


ノエルの体に一太刀、また一太刀と切り刻まれた


【ノエル・シュヴァリエ】

「誰か、我を助けよ。」


ノエルは必死で助けを呼んだが、その場にいた者たちは誰一人味方する者はなく、兵士たちの刃を食らい続けた


【兵士長】

「死ねえ!死ぬのだ!」


兵士長によって切り刻まれたが、まだ生きていた


【ノエル・シュヴァリエ】

「だ、だれか、い、い、いしゃを。」


ノエルは辛うじて生きており、医者を呼んだ


【兵士長】

「はああああああああ!」


【ノエル・シュヴァリエ】

「ちち、う、え、たす、け・・・・」


ノエルは自ら殺した父の遺体に助けを求めたが、兵士長の剣がノエルの頭に突き刺し、ついに息絶えた。兵士長はノエルの首を切り落とし、片手で持ち上げた


【兵士長】

「謀反人は、この兵士長が成敗した!」


【衛兵たち】

「えい、えい、おおおおおおおお!」


兵士長が名乗りを上げた瞬間、衛兵たちも同調し、鬨の声を上げた。そして国王の横死、謀反を起こした元王太子のノエルの誅殺が上級大臣たちに知らされた。そしてシークハルト公爵とダグラス公爵が非公式の会談を行った


【シークハルト公爵】

「よもや本当に陛下と殿下が共倒れするとは、我らにとっては朗報ですな。」


【ダグラス公爵】

「本当にノエル元王太子は期待を裏切りませんな。」


【シークハルト公爵】

「そうですな、では予定通りに第二王子を国王へ就任させましょう。」


【ダグラス公爵】

「えぇ、ほとぼりが覚めた頃に他国から王族の姫君をお迎え致しましょう。」


【シークハルト公爵】

「その前に事件の後始末ですな。」


【ダグラス公爵】

「えぇ。」


シークハルト公爵とダグラス公爵は国王とノエル元王太子の死を喜び、非公式の会談を終わらせ、事件の後始末に努めた。後にこの事件を【シュヴァリエ騒動】という御家騒動としてシュヴァリエ王国の歴史に残った


ごきげんよう、セシリア・シークハルトです!突撃ですが大事件が発生しました!何とノエル王太子が父である国王陛下を殺したのである!衛兵たちがノエル王太子を殺し、現在は城下町でさらし首になっています。新たな国王は殺された前国王と側妃が生んだ第二王子が継ぐことになりました。ほとぼりが覚めた頃に第二王子の婚約者は他国から迎えるとの事です


【セシリア・シークハルト】

「やれやれ、一時はどうなることかと思ったわ。」


私としては乙女ゲームから、ようやく解放され、自由を得ることができたのである。まさかとは思ったがノエル王太子が国王を殺すとは思わなかった。父上を含め、各大臣たちは、てんやわんやの大忙しです。それも終わり、国王陛下の葬儀が始まりました。しかしその葬儀は王妃様とは違い非常に質素なものでした


【セシリア・シークハルト】

「国王陛下も息子に殺されるとは思わなかったでしょうね。」


これで王妃様の血統が途絶え、代わりに側妃の血統を継いだ国王がこの国を治めるのである。私としては何事もなく平和に過ごしたいです


【アーシア・インジェント】

「お姉様!」


【セシリア・シークハルト】

「アーシア。」


【アーシア・インジェント】

「それにしても驚きましたね!まさかノエル王太子が謀反を起こすなんて。」


【セシリア・シークハルト】

「そうね、世の中、何が起こるか分からないわ。」


【シルビア・レイン】

「セシリア様!アーシア!」


【エリナ・アーカード】

「ここにおられましたか!」


【セシリア&アーシア】

「シルビア(様)、エリナ(様)!」


【シルビア・レイン】

「これは大ニュースですよ!」


【エリナ・アーカード】

「ええ、まさか演劇の後にノエル王太子が謀反を起こすなんて!」


【セシリア・シークハルト】

「アーシアともその話をしていたわ。」


【アーシア・インジェント】

「本当に驚きですよね!」


四人でノエルの謀反を話し合っていた


【ジュリア・ダグラス】

「ごきげんよう、セシリア、皆さん。」


【セシリア・シークハルト】

「ジュリア!」


【シルビア&エリナ&アーシア】

「ジュリアってダグラス公爵家の!」


そこへジュリアが現れた


【ジュリア・ダグラス】

「婚約を解消できて良かったわ。もし婚約を結んだままだったら私は危なかったわ。」


【セシリア・シークハルト】

「本当に良かったわ、ジュリア。」


【ジュリア・ダグラス】

「ええ、まさか謀反を起こすとは思わなかったわ。」


【セシリア・シークハルト】

「でも内乱が起きなくて良かったわ。」


【ジュリア・ダグラス】

「そうね。」


私たちは亡き国王とノエルの冥福を祈りつつ、平和に過ごせることに感謝したのである





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