第3話
ごきげんよう、セシリア・シークハルトでございます。アーシアと姉妹の契りを結んだ
【アーシア・インジェント】
「セシリアお姉様、お待ち申しておりました!さぁ、部活へ参りましょう!お鞄をお持ちします!」
【セシリア・シークハルト】
「分かったから落ち着きなさい!」
アーシアからは、お姉様と呼ばれ、私の身の回りの世話をしまくった
【シルビア・レイン】
「セシリア様、喉が乾きませんか?お水を用意しました!」
【エリナ・アーカード】
「セシリア様、今日は良い天気です。外でお茶会をしませんか!」
アーシアと姉妹の契りを結んだ直後に、なぜか知らないがシルビアとエリナが私に甲斐甲斐しく尽くしている
【セシリア・シークハルト】
「シルビア、エリナ、気持ちは嬉しいけど大事な友人にそのようなことはできないわ。」
【シルビア・レイン】
「もしかしてお邪魔でしたか!」
【エリナ・アーカード】
「だったら直しますから!」
【セシリア・シークハルト】
「別にそこまでは・・・・」
シルビアとエリナが涙ながらに訴えてきたのを無下に扱うわけにもいかず、私は二人を宥めていました
【セシリア・シークハルト】
「はぁ~、どうしてこうなったの。」
そこから月日が流れ、シークハルト公爵家にある招待状が届いた
【セシリア・シークハルト】
「ダグラス公爵家から招待状が?しかも私にですか?」
【シークハルト公爵】
「あぁ、どうする?断ることもできるぞ。」
【セシリア・シークハルト】
「いいえ、せっかく招待してくださるなら、御断りするわけにはいきませんわ。」
【シークハルト公爵】
「そうか、では気を付けて行ってきなさい。」
【セシリア・シークハルト】
「はい!お父様。」
私はダグラス公爵家からの招待を受け、馬車に乗りダグラス公爵家へと向かった
【セシリア・シークハルト】
「一体、何のようかしら?まさかノエル殿下の事じゃないわよね。」
私が不安に思っているのはノエル王太子殿下のことである。実はダグラス家はノエル王太子殿下との婚約を結んでいるのだ。つまり本来、乙女ゲームでシークハルト公爵家が受けるはずだったノエル王太子殿下との婚約が、代わりにダグラス公爵家に受けることになったのだ
【セシリア・シークハルト】
「とりあえず会ってみるしかないわね。」
そうこうしている内にダグラス公爵家に到着した。そこへダグラス家の執事が出迎えた
【ダグラス家の執事】
「セシリア様、ようこそ、おいでくださいました。当家はセシリア様がお越しになられるのをお待ち申しておりました。」
【セシリア・シークハルト】
「歓迎痛み入ります。」
【ダグラス家の執事】
「ありがとうございます。では、こちらへ。」
ダグラス家の執事に案内され、ダグラス邸に入った。メイドたちが御辞儀されつつ、執事に着いていき、庭先へと出た。そこに私を招待した人物が待っていた
【ジュリア・ダグラス】
「ようこそおいでくださいました、セシリア様。」
【セシリア・シークハルト】
「お招きいただきありがとうございます。ジュリア様。」
そう私を招待したのはダグラス公爵令嬢でノエル王太子殿下の婚約者のジュリア・ダグラスである
【ジュリア・ダグラス】
「さあ、お掛けになって、立っていてはお茶会ができませんでしょ。」
【セシリア・シークハルト】
「そうですね、では失礼いたします。」
私は椅子に座るのと同時にジュリアも椅子に座った。そこへメイドが紅茶の入ったティーポット、ティーカップ、ティーコージー、砂時計、そして生クリームがたっぷり入ったティラミスが運ばれた
【セシリア・シークハルト】
「ジュリア様、不躾ながらお尋ねいたしますが、御用の趣は何でしょうか?」
【ジュリア・ダグラス】
「あらあら、セシリア様とあろう御方がずいぶんとせっかちですのね。」
【セシリア・シークハルト】
「申し訳ありません、ですが私たち当家と貴宅とは縁も所縁もないのに、わざわざお茶会に誘うなんて、不思議でしょうがなかったものなので・・・・」
【ジュリア・ダグラス】
「それもそうですわね。では本題へと移りましょうか。」
するとジュリアは姿勢を正し、真剣な顔つきになった
【ジュリア・ダグラス】
「セシリア様、なぜ殿下との婚約を辞退なされたのですか?」
今さら、なんでそんなことを・・・・
【セシリア・シークハルト】
「なぜと申されましても、当家には身に余る仰せでしたのでご辞退いたしました。」
【ジュリア・ダグラス】
「もう1つ、この国で有名な占い師を招いたのはなぜかしら?」
【セシリア・シークハルト】
「別に大したことではありません、天候を調べてもらっただけです。領地の経営も公爵家の仕事ですので、天候によって作物の出来が変わりますから。」
【ジュリア・ダグラス】
「・・・・そうですか、申し訳ありません、貴宅の私用に土足で入るような真似してしまって・・・・」
【セシリア・シークハルト】
「いいえ、お構い無く。」
その会話を最後に、私たちは無口になり、メイドが用意したティラミスと紅茶を飲食し、私はそのまま帰宅しました。私はいうと聖ロイヤル女学園の文化祭に行われる舞台の練習をしていた。そして休憩中に幼馴染のシルビアが尋ねてきた
【シルビア・レイン】
「セシリア様、昨日、ダグラス公爵家に行ったのは誠でございますか?」
【セシリア・シークハルト】
「そうだけど、よく知ってるわね。」
【シルビア・レイン】
「はい、令嬢の秘密の連絡網によって知りました。」
何それ、初めて知ったんだけど!
【エリナ・アーカード】
「どのような御用で参られたのですか!」
【アーシア・インジェント】
「お姉様、ダグラス公爵家で何かされませんでしたか!」
そこへエリナとアーシアが鼻息荒くして尋ねてきた
【セシリア・シークハルト】
「落ち着きなさい。ただ、お茶とお菓子を食べて、会話をしただけよ!」
【シルビア・レイン】
「そうですか、てっきりノエル王太子殿下のことかと思いました。」
【セシリア・シークハルト】
「ちょっと待って、ノエル王太子殿下のことって何?」
【シルビア・レイン】
「部活が終わった後に話しますので・・・・」
【セシリア・シークハルト】
「分かったわ。」
私たちは部活の練習をしたあと、予定よりも早めに終わらせた
【セシリア・シークハルト】
「今日はここまで!」
【部員】
「ありがとうございました!」
部員たちを帰らせた後、私はシルビア、エリナ、アーシアの3人だけを残した。もちろん、誰も入って来られないようにドアに鍵をかけた
【セシリア・シークハルト】
「シルビア、教えてもらいましょうか?」
【シルビア・レイン】
「はい、分かりました。」
シルビアは真剣な顔つきになり、ノエル王太子殿下のことを聞いた
【シルビア・レイン】
「実はノエル王太子殿下とジュリア・ダグラス公爵令嬢は、あまり上手くいっていないようです。」
【セシリア・シークハルト】
「本当に?」
【シルビア・レイン】
「はい、噂ではノエル王太子殿下はジュリア様の下へ足を運ばず、他のご令嬢と遊んでいるところを目撃されています。」
【セシリア・シークハルト】
「そうなの。」
思い出した!確かノエル・シュヴァリエは悪役令嬢であるセシリアと婚約を結んでもなお、他の令嬢と一緒にいることが多いのよね。その中でヒロインのアーシアに一目惚れしたんだよね。私もゲームをやっていく内にノエルが大嫌いになってしまって、悪役令嬢のセシリアに同情してしまったんだよな。つか、この乙女ゲーム作った奴の神経を疑うわ!
【エリナ・アーカード】
「いくら王太子でも酷すぎます!婚約者がいながら、他のご令嬢に現うつつを抜かすなんて!」
【アーシア・インジェント】
「エリナ様のおっしゃる通りです。私もそのような御方は御免ですわ!」
乙女ゲームのヒロインのアーシアに嫌われているようじゃ、ノエルも救いようがないわね
【セシリア・シークハルト】
「だとしたら私は運がいいわね。」
【アーシア・インジェント】
「お姉様、それはどういうことですか?」
【エリナ・アーカード】
「アーシア、貴方知らなかったの!かつてセシリア様はノエル王太子殿下の婚約者候補だったのよ!」
【アーシア・インジェント】
「そうだったのですか!」
【セシリア・シークハルト】
「昔の話よ、今にして思えば辞退して良かったわ。」
【アーシア・インジェント】
「さすがです!お姉様!」
【セシリア・シークハルト】
「それでジュリア様はどうしたの?」
【シルビア・レイン】
「表立っては行動を起こしてはいませんが、知人にはノエル王太子への不満を漏らしていました。」
やはりか、あの御方は一見すると悠然と構えているようだけど、内にはストレスを溜め込んでいるのね
【シルビア・レイン】
「ジュリア様がセシリア様をお茶会に招いたのもノエル王太子殿下の一件が関わっていると思いまして、つい・・・・」
【セシリア・シークハルト】
「そう、分かったわ。でもそのような話もなく普通のお茶会だったわ。」
【シルビア・レイン】
「そうでしたか、それを聞いて安心しました。」
ごめんね、シルビア。私もこれ以上、ノエル王太子殿下のことで首を突っ込みたくないの。私は平穏に暮らしたいの!正直、ノエルなんかどうでもいいの!
【セシリア・シークハルト】
「心配かけて御免なさい。さあ、もう話はここでお仕舞いよ。帰る準備をしましょう!」
【シルビア&エリナ&アーシア】
「はい!」
私は帰る準備を済ませた後、3人と別れ、まっすぐ家へと帰宅した
【セシリア・シークハルト】
「もう私には関わりのないことだ。」
そう自分に言い聞かせながら、今日の1日が終わった
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