第2話
なんでここにヒロインがいるのおおおおおおおお!
【セシリア・シークハルト】
「ええと、貴方は?」
私は何とか冷静に振る舞った
【アーシア・インジェント】
「はい、今年から聖ロイヤル女学園に入学いたしました!アーシア・インジェントと申します!」
知ってるよ!乙女ゲームのヒロインだもの!
【セシリア・シークハルト】
「どうして演劇部に入部したいのかしら?」
【アーシア・インジェント】
「はい!私はセシリア様のお姿に感動いたしました!私もセシリア様と共に一緒の舞台に立ちたいです!」
【セシリア・シークハルト】
「そう、ありがとう。でも舞台の稽古は厳しいわよ、まず見学してみない?見学後に入部するかどうか決めたらどうかしら?」
【アーシア・インジェント】
「はい、分かりました!ではセシリア様、ごきげんよう!」
アーシアは私にお辞儀をした後、学園の方へと向かった。私は乙女ゲームからは逃れられないことに気付いたのである
【セシリア・シークハルト】
「是非もなし、ヒロインが入学してきた以上、ヒロインを苛めない方向で進めるしかない!幸い、ノエル王太子の婚約者は別の御方、私には関わりなし!」
私はそう自分に言い聞かせた後、部活紹介が終わってから明日、演劇部の稽古が始まる
【セシリア・シークハルト】
「今日から見学者がくると思いますが、気にせずに次の舞台への稽古に集中してください、いいですね!」
【部員】
「はい!」
私たちは舞台の稽古に勤しんだ。稽古中に見学者が続々と入室した。その中にはアーシアも含まれていた
【エリナ・アーカード】
「陛下、この先は危険でございます!どうか退却を!」
【セシリア・シークハルト】
「いや、私は一国の主だ!部下を見捨てて、自分だけが生き延びるのは君主の恥だ!」
【シルビア・レイン】
「それは違います!部下は貴方が生きているからこそ戦っているのです!貴方様が死ねば彼らの死も無駄になります!だうか退却を!」
【セシリア・シークハルト】
「くっ!あい分かった!」
家臣役のシルビアとエリナも熱意のこもった演技を見せる!
【セシリア・シークハルト】
「天はなぜ我等を見捨てたのだ!」
私は最後の締めを見せた後、見学者からは拍手喝采が沸き立った
【新入生A】
「セシリア様、素敵です!」
【新入生B】
「私、演劇部に入部します!」
【新入生C】
「裏方を頑張りますのでお願いします!」
新入生からは入部者が入ってきた。その中にはアーシアも含まれていた
【アーシア・インジェント】
「セシリア様、私も入部します!」
【セシリア・シークハルト】
「そう、ありがとう。よろしくね。」
【アーシア・インジェント】
「はい!よろしくお願いいたします!」
そして新入生は舞台に上がる前に、滑舌と発声レッスンと身体訓練を行った
【セシリア・シークハルト】
「もっと腹から声を出しなさい!」
【新入部員】
「はい!」
【セシリア・シークハルト】
「何事も体が資本!舞台は体力勝負よ!」
【新入部員】
「はい!」
【セシリア・シークハルト】
「いい!1人だけの舞台じゃない!みんなの協力があってこその舞台よ!分かった!」
【新入部員】
「はい!」
私は稽古の合間に新入生へのレッスンも同時に行い、1ヶ月が立った
【セシリア・シークハルト】
「はい、今日のレッスンはここまで!」
【新入部員】
「ありがとうございました!」
今日も部活は終了した
【アーシア・インジェント】
「セシリア様、お疲れ様です!どうぞタオルを!」
【セシリア・シークハルト】
「ありがとう。」
【アーシア・インジェント】
「セシリア様、お水をどうぞ。」
【セシリア・シークハルト】
「ありがとう。それとアーシア、私に構っている暇があったら自己レッスンしたらどうなの?」
【アーシア・インジェント】
「はい、失礼しました!」
私はアーシアからタオルや水を受け取りつつ、釘を指しておいた。私はお花を摘んだ後、部室へ戻る途中、誰もいない教室に話し声が聴こえた
【後輩令嬢A】
「何なの、あの娘、セシリア様に媚びなんか売っちゃって。」
【後輩令嬢B】
「あの娘、セシリア様目的に入部したのかしら?」
【後輩令嬢C】
「まぁ、何て恥知らずな御方なのでしょう!」
【後輩令嬢D】
「所詮は成り上がりの男爵家の人間ですわ!」
ガラッ!
【後輩令嬢A&B&C&D】
「せっ、セシリア様!」
【セシリア・シークハルト】
「感心しないわね、他人の陰口を叩くなんて。」
【後輩令嬢A】
「そ、それは、その・・・・」
【セシリア・シークハルト】
「お黙りなさい!」
【後輩令嬢A&B&C&D】
「はい!」
【セシリア・シークハルト】
「私はね、陰口を叩く人、告げ口をする人、身分を傘に着て威張る人、そして苛めを行う人が大嫌いなの。舞台はみんなの協力があって舞台は成り立つの!その大事な舞台に上がる前の足の引っ張りあいは見苦しいにもほどがあるわ!顔を洗って出直してきなさい!」
【後輩令嬢A&B&C&D】
「申し訳ありませんでした!」
後輩令嬢たちは一目散に逃げ出した
【セシリア・シークハルト】
「はぁ~、全く。」
やっぱりいつの時代も嫉妬や足の引っ張りは変わらないわね
【アーシア・インジェント】
「セシリア様。」
【セシリア・シークハルト】
「ひゃっ、何だ、アーシアか。びっくりさせないでよ!」
いつからいたの!この娘!
【アーシア・インジェント】
「申し訳ありません。」
【セシリア・シークハルト】
「それでどうしたの?」
【アーシア・インジェント】
「聞いてましたよね。先程の令嬢たちが私の悪口を言ってたこと。」
【セシリア・シークハルト】
「あぁ、先程のね。」
その時からいたのかよ、全然気付かなかった
【アーシア・インジェント】
「私って迷惑ですか。」
【セシリア・シークハルト】
「別に迷惑とは思っていないわ、なぜそのことを聞くの?」
【アーシア・インジェント】
「はい、舞台を見るのが大好きで、よく舞台を見に行っていました。そしてセシリア様の初舞台を拝見し、その時より私はセシリア様のファンになりました!」
【セシリア・シークハルト】
「そうなの。」
【アーシア・インジェント】
「セシリア様は私の憧れです!だからこの学園に入学しました!いつかセシリア様と同じ舞台に立ちたいと心に決めていました!少しでもお近づきになりたいと勇気を振り絞りました!」
【セシリア・シークハルト】
「そう。」
【アーシア・インジェント】
「でも私の行動が他の令嬢たちから媚びを売っている、成り上がりのする事と陰口を叩かれていることに気づいていました。それに靴をゴミ箱に捨てられたり、脅迫状を届けられたりした事もありました。」
【セシリア・シークハルト】
「ちょっと待って、なんでそのことを先生に報告しないの!完全に苛めじゃない!」
【アーシア・インジェント】
「私の実家は元々は商家の出で、貴族ではありません、だから仕方がないと。」
【セシリア・シークハルト】
「そんなの関係ないわ!弱いものいじめは絶対にやってはいけないことなのよ!私も一緒に協力するから!」
【アーシア・インジェント】
「セシリア様。」
【セシリア・シークハルト】
「ほら、行くわよ!」
【アーシア・インジェント】
「はい!」
その後、私はアーシアとともに先生に報告し、アーシアに苛めを行っていた令嬢を徹底的に洗いました。苛めを行っていた令嬢たちは全員、やっていることが悪質なため退学処分となり、それぞれの家で勘当を言い渡されました。私の家の名もあって行われたことが効いたのか、それ以降、アーシアに嫌がらせをする人がいなくなりました
【アーシア・インジェント】
「セシリア様、ありがとうございます!」
アーシアは泣きながら、私に感謝の言葉を述べた
【セシリア・シークハルト】
「いいのよ、私が勝手にやったことなんだから。」
【アーシア・インジェント】
「あのセシリア様、実は両親がセシリア様を我が邸宅へ招きたいと申しております!今回の件の恩返しをしたいそうです!」
【セシリア・シークハルト】
「いや、別に大したことはしてないんだけど。」
【アーシア・インジェント】
「いいえ、それでは私の気が済みません!どうかお願いいたします!」
アーシアが平身低頭して頼み込んだ
【セシリア・シークハルト】
「分かったわ、招待を受けるわ。」
【アーシア・インジェント】
「ありがとうございます!一家揃ってセシリア様をお出迎えいたします!」
【セシリア・シークハルト】
「あ、そう。」
その後、休みの日に私はインジェント男爵家の招きに応じた
【インジェント男爵】
「この度は娘を助けていただき、感謝いたします!」
【インジェント男爵夫人】
「私たちは一家揃ってセシリア様をおもてなし致します!」
【セシリア・シークハルト】
「歓迎痛み入りますが、私はただ、困っている後輩を助けたまでにございます。御礼は結構ですよ。」
【インジェント男爵】
「いいえ、受けた恩を返さぬままでは我が家の恥になります!王族同様のおもてなしを致しますゆえ、何卒!」
【セシリア・シークハルト】
「そうですか、そこまで言われては断るわけにはいきませんね。」
【インジェント男爵】
「ありがとうございます!」
その後、私はインジェント男爵家の盛大なもてなしを受けた。屋敷内は質素でしたが、私のもてなしには、金に糸目はつけずに金銀を惜しまず使っている辺り、さすがは商家だと感心した
【セシリア・シークハルト】
「男爵家の皆様のおもてなしには、大変感じ入りました。後で御礼の品をお届けいたします。」
【インジェント男爵】
「いいえ、娘を助けていただいた恩返しをしたまでのことにございます。御礼を言うのは我らでございます。」
【アーシア・インジェント】
「あの、セシリア様。」
【セシリア・シークハルト】
「何かしら?」
【アーシア・インジェント】
「お礼の品代わりにお願いしたきことがございます。」
【インジェント男爵】
「アーシア、お前は突然、何を言っているんだ!失礼ではないか!」
【セシリア・シークハルト】
「構いませんよ、それでアーシア、願いとは何かしら?私が叶えられる範囲でならいいわよ。」
【アーシア・インジェント】
「はい、私をセシリア様の妹にしてください!」
【セシリア・シークハルト】
「はい?妹?」
【アーシア・インジェント】
「はい、聖ロイヤル女学園では姉妹スール制度がございます。私は姉妹スール制度に乗っ取り、セシリア様と姉妹の契りを結びたいのでございます!」
【セシリア・シークハルト】
「あぁ、そういえば、そんな制度あったわね。」
正直、先輩方には色々と良くしてくれたけど姉妹の契りを結んだことがなかったな
【セシリア・シークハルト】
「いいわよ。」
【アーシア・インジェント】
「ありがとうございます!セシリア様をお姉様とお呼びします!」
【セシリア・シークハルト】
「あ、そう。まぁ、よろしくね。」
こうしてセシリアとアーシアは姉妹の契りを結んだのである
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