博士の愛した犬

　犬を飼っていると、犬が死んだときのことをいつも心配してしまいます。私だけではないようで、「人間が死ぬよりよほど悲しい」とか「たとえようもない」とか「死んだら剥製にしようか」とかいう人がいます。表現が違うだけで、みんな同じ気持ちになるようです。「子供が生まれたら犬を飼うのがいい。子供の時には遊び友達になり、思春期には死を教えてくれる」とか誰かが言っていた気がしますが、本当に愛犬の死ぬのは避けようのない誰にとっても大きな出来事です。
　もしもとてつもなく賢い博士が犬を飼っていたら、死なないように何とかしてしまうのではないかと思い、この作品を書きました。
　そのころはやっていた某小説から題名をもらって、その時から10年以上温めたネタを、やっと書けました。

　私は物理にコンプレックスがあり、でき…続きを読む