子曰く、歳寒くして、然る後に松柏の凋むに後るるを知る也――論語「子罕]

寒い冬の中で、松のような常緑樹の「緑」が長く残っていることを知ることができる――という論語の言葉です。

カサン帝国のオモ・ヒサリという若き女教師は、植民地であるアジェンナ国の田舎の村のスンバへとやって来ます。
そこは、妖人と呼ばれる、あまり良くない扱いを受ける人々がいます。
彼ら妖人は妖怪を相手にできるという異能がありますが、それゆえにこそ、「平民」を始めとする他の集団、人種から蔑まれています。
――その妖人の子どもたちに、教育を施すという使命を胸に抱くヒサリ。
彼女にとって、「寒い冬」ともいうべきスンバ村において、彼女は「緑」=教えを示すことができるのか。
また、妖人の子どもたちもまた、酷い扱いという「寒い冬」の中、「緑」=心や才能を示すことができるのか。

……アジア風な国と、近現代の雰囲気の時代の中、彼女と子どもたちが、どこまで「緑」をくっきりと表すことができるのか。
それを見守っていく物語です。
是非、ご一読ください。

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