妖怪の村の小さな学校 《アジェンナ国物語~少年少女編》

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 はじめに 物語の舞台について

 物語の舞台は南国のとある島国アジェンナ。ひょうたん型の南北にやや細長い本島を中心に、多くの小さな島より成る王国である。古くから海上交易の要所として栄えたが、長きに渡る西の帝国ピッポニアの苛酷な植民地支配によって人々の多くは貧しい生活を強いられていた。

 物語が始まる6年前、ピッポニア帝国とアジェンナの北東に位置するカサン帝国の間に戦争があり、カサン帝国が勝利したのを機に、アジェンナはカサン帝国支配下に入った。

 アジェンナ王国はもともと北部のアジュ族を中心とするアジュ王国と南部のアマン族を中心とするアマン王国に分かれ、長年闘いを繰り広げてきたが、150年前にアジュ国王が強大な軍事力を持つピッポニア帝国を後ろ盾にしてアマン王国を制圧、アジェンナという統一王国を作る。アジェンナはその事をきっかけにピッポニアの政治介入を許し、アジェンナ王は長らく事実上ピッポニア帝国の傀儡と化していた。

 アジェンナは北部アジュ王国が南部アマン王国を制圧して作られたとういう経緯から、北部に比べて南部は発展が遅れ貧しく、また北部アジュ人は一般的に南部アマン人を見下している。また北部アジュ族と南部アマン族の言葉は似てはいるが異なっている。

 アジェンナには厳格な身分制度がある。国王を頂点として、貴族、士族階級があり、その下に農民を中心とした平民階級があるが、同じ平民の中でも地主や役人と小作人の間の貧富の格差は著しい。さらにその他に「人外の民」と呼ばれる「奴隷」や「妖人」がいる。「妖人」とは妖怪に関わる仕事をする人々で、「穢れた存在」とされ徹底的に差別されている。

 アジェンナ王国の首都は北部のタガタイ。

 アジェンナ全体が熱帯気候に属して常夏である。しかし南部や湿潤なのに比べ北部はやや乾燥していて、季節によっては夜間気温が低下し寒くなる。

 物語の主な舞台であるスンバ村は南部の最大のチャヤテー川支流にある田舎の村である。この村でも妖人に対する差別は苛酷で、妖人達の住む地域は平民達から川で隔てられた「森の際」地区である。この地区にある小学校にある日カサン帝国から若い女教師オモ・ヒサリが赴任する。そして彼女の教える壁もない小さな学舎に、意欲のある生徒達が集まり出し、物語は始まる。

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