登場人物紹介

オモ・ヒサリ

 物語の主人公。カサン帝国から植民地アジェンナ国のスンバ村に赴任した若き女教師。カサン帝国の忠実な臣民であり、現地の子ども達にカサン語とカサン文化を教える事に情熱を注ぐ。一方、アジェンナの、特に南部の文化を愛し現地語のアマン語にも堪能。カサン人。


《オモ・ヒサリの12人の生徒》


マル(マルーチャイ・アヌー・ジャンジャルバヌイ)

 物語のもう一人の主人公。人々に歌物語を聞かせて施しをもらう物乞いの子。貧しく、全身が皮膚病で醜いイボに覆われているが、人懐こく温厚な性格で皆に愛されている。「妖怪の言葉が分かる」という不思議な力を持つ。ヒサリ先生に優れた言葉の才能を見出される。ヒサリに最も情熱と愛情を注がれる。アマン人で妖人。カサン名はハン・マレン


ナティ(ナティンワリー・チャド・ホンタガン)

 妖怪ハンターの子。口汚く喧嘩っ早いため、嫌われ者だが、マルとは大の仲良し。アマン人で妖人。


ダビ(ダビッドサム・デーン・コームナック)

 妖獣の皮で靴を作る職人の子。妖人の中では飛び抜けて裕福で良い身なりをしている。向上心が強く負けん気の強い性格。平民達と同じ学校に通っていたが、差別や嫌がらせを受けてオモ・ヒサリの学校に転入する。アマン人で妖人。カサン名はコック・ダイ


トンニ(トンニットサン・スーン・ギッタヤー)

 妖獣の皮をなめす職人の子。ダビの親友。クールな性格。医学や自然科学の興味を持つ。アマン人で妖人。カサン名はタヤ・トゥイ


ラドゥ(ラドゥカーン・ヌン・アバンダン)

 農民で小作人の家の少年。家が貧しいため、無料で教えてもらえるオモ・ヒサリの学校で学んでいる。母親の影響で、平民にもかかわらず妖人に偏見を持たない稀有な少年に育った。たくましくリーダーシップがある。学校で最年長。アマン人。カサン名はアヤン・ラウ


テルミ(テルミナリヤ・デーン・ウルミナイ)

 産婆の子。男の子だが女の子のような容姿と優しい性格の持ち主。マルと仲良し。アマン人で妖人。カサン名はウマ・テイ


メメ(メフメラディー・アヌー・モルカヌイ)

 葬儀屋の子。無口。母親が北部アジュ人であるため、アジュ人らしく色が黒く引き締まった体つきで背が高い。マルの友人。オモ・ヒサリの学校で学ぶうちに、カサンの軍に入りたいと願うようになる。妖人。カサン名アン・メライ


シャールーン

 興行主ロロの見世物小屋にいる踊り子の少女。大柄で力持ち。元は士族階級だったが、両親が反逆罪のために処刑され、本人は奴隷身分に落とされた。心の傷のためか口をきく事が出来ない。マルが彼女に対し恋心を抱く。カサン名サイ・シルリ


ミヌーリー

 興行主ロロの見世物小屋にいる踊り子の少女。シャールーンと共に学校に学びに来る。明るく社交的で器用。常に男の子と遊びたがっている。カサン名エメ・ミアナ


アディ(アルディーニー・デーン・スカバット)

 糞尿の収集と処理をする家の子。村一番の美少年。糞の収集のために出入りする平民の村役人の家の娘ハーラに身分違いの恋をする。アマン人で妖人。カサン名ホキ・アニ


ニジャイ(ニジャイダイ・デーン・ビルスニギル)

 村の警備をするビンキャットの子。裏表のある性格で、オモ・ヒサリに唯一警戒心を抱かせる生徒。カサン名コイ・ニタ


カッシ(カッシムラー)

 祈祷師の子。妖人達からも嫌われ避けられる「山の民」の少年で、人との関わりを避けて孤独を好む。不潔でだらしなく愚鈍な少年でヒサリを悩ませるが、マルとは仲が良く、少しずつ読み書きを習得していく。カサン名トン・カイ


《スンバ村の村人達》


ビンキャット

 村の警備をする男。ニジャイの父。強い者にすり寄り弱い者には高圧的。シャク人。


バダルカタイ先生

 アマン語の教師。オモ・ヒサリの学校で生徒達にアマン語の読み書きを教える。アマン語とアマン文化を愛し、カサン帝国に対しては複雑な思いを抱いている。アマン人で平民。


エルメライ

 スンバ村の村長の息子。学校の成績は優秀。プライドが高い。いじめっ子のサンと常に一緒に行動し、妖人に対し冷やかな態度を取る。アマン人で平民。カサン名はネイ・ワン


パンジャ(パンジャンプトラ・アヌー・アッサナック)

 スンバ村の妖人の中では最も裕福な家の息子。臆病者だが意地悪な性格で、マルをいじめている。


ダヤンティ

 アディの母。本業は糞尿の処理だが、オモ・ヒサリに雇われて食事の用意や洗濯など身の回りの世話をしている。


ジャイおばさん(ジャイネンティ)

 シャールーンやミヌーリーら踊り子に芸を仕込む師匠。意地悪ばあさんと呼ばれ、特にシャールーンにきつく当たる。一方、踊り子にも学問が必要だと判断しシャールーンとミヌーリーを学校に行かせる合理的な側面もある。


ロロおじさん

 興行主。スンバ村で、芸を披露して施し物をもらう物乞い達を集めてテントでショーを行っている。物乞い達の芸を一大エンターテイメントに仕立て上げた。商才に長けていてしたたかな人物。芸人達に物乞い用の筏の貸し出しもやっている。


マルの母

 盲人。もともとはピッポニア人の捨て子だったが、物乞いの夫婦に拾われて育てられた。マルにとっては優しい母であり歌物語の師匠でもあったが、ダムの決壊による洪水で死去。


ネビラおばさん

 メメの母。葬儀の仕事をしている。マルの母とは生前親しくしており、マル自身にとっても母のような存在。無口だが仕事にはプライドを持っている。北部からやって来たアジュ人。


ハーラ(ハーラティーヤ)

 村役人の子。病弱。アディの恋の相手。


オムー(オムールカ)

 マルの兄。無邪気な弟と違って反抗的な性格。マルに悪影響と与えないようにとのオモ・ヒサリの思惑により、少年矯正所に送られた。


プシー(プラカーシュニー)

 ナティの姉。村一番の美女で金持ちのアッサナック家に嫁いでいる。


スンニ(スンニラディー)

 ラドゥの妹。洪水の日に救いを求めてやって来たマルを最初は気味悪がるが、その歌声の虜になる。


《カサン人》


シム・キイラ

 カサン帝国からスンバ村に赴任した女教師。女学校時代のオモ・ヒサリの同級生。平民の子を中心とした学校で教えている。カサン総督府の方針に従い、学校ではアマン語を使わせず、生徒達に鞭を使う事も厭わない。


テセ・オクム

 アジェンナ国にカサン語とカサン文化を広める文化部隊の中でかなりの地位にある人物。陽気で豪快な性格。ヒサリの父とも知り合いで、妖人の子達への教育に情熱を燃やすヒサリに対しても理解がある。


オモ・ラン

 ヒサリの妹。わがままで暴力的。アジェンナの人々を見下した言動を取る。


トウ・アムト

 ヒサリの恋人。作家。後にカサン文化部隊に参加。カサン帝国の国策的小説を書いて一躍流行作家になる。


ウォン・カン

 カサン人医師。スンバ村で診療所を開いている。


《その他》


スヴァリ

 マルが常に持っている妖鳥の卵に弦を張った楽器。洪水で死んだ物乞いの少女の魂を宿していて、マルによく話しかけ、時にマルを悩ませる。

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