異能が勝手に動く…女子高生はお風呂に入る
すると女子高生はその場で脱ごうとし始めた。
「お、おい…言葉足らずで済まなかった。お風呂場で制服脱いでお風呂に入れ。」
「…わかりました。お風呂場で制服脱いでお風呂に入ります。」
すると女子高生はお風呂とトイレのある部屋に向かっていった。俺は1人、すき焼きの準備を始めた。テーブルにガスカセットを乗せてダシを入れた鍋を置き沸騰させ、食材を入れて茹で上がったらお椀に溶いて入れた卵を絡ませて食べる。俺は卵を絡ませて食べるのが大好きだ。1人ですき焼き食べるのはだいたい2年ぶりになるだろうか。そういえば最近はすき焼きをしてなかったなと思った。俺がすき焼きを食べて15分が過ぎようとしていた頃、女子高生がお風呂から出てきた。
「お風呂ありがとう。なんか着替える服ない?」
「着替える服か?女性服はないが…。」
俺は振り返ると女子高生はバスタオル1枚の姿だった。
「って、お前裸…。」
「だって制服着て寝たく無かったんだもん。」
「だからと言って男の前でバスタオル1枚はないんじゃないか…。目のやり場に困るんだが。」
「だって年下に興味、無いんでしょ?」
「そりゃあ無いが、世間一般論的に不味いだろ。」
「ここ、あなたの家だし、誰も来ないでしょう?」
「最近の女子高生は恥というものを知らないのか?」
「恥ぐらいあるよ。…あなたは女子高生に興味無いみたいなので安心してこの姿ですが、基本的にこの姿は恥ずかしいです。」
有言実行の能力が発動するとどんな奴も丁寧に返答してくるのだろうか?そんなことよりも、女子高生に興味無いにせよ、安心したりするなよな。男と一緒にいるんだ。こんな無防備だと襲われても仕方ないぞ。俺は襲ったりしないけど。そういえば推しに負けて付き合った1人目の女子とカラオケに行った時、案外ヘタレなんだねとか冗談半分で言われたな。笑っていたから冗談半分だろうと俺の勝手な判断だが。
「恥を知っているだけマシか…。」
「酷い言いようだね。目の前にバスタオル1枚の女性が立っているのに何もしないとか本当に女性に興味無いの?」
「女性に興味無いんじゃない。年下に興味無いんだ。ってか少し待ってろ、適当に綺麗な服見繕ってやるから。」
そういうと俺は寝室に行き、洗ってある適当な服とズボンを用意してリビングに戻った。リビングでは女子高生がバスタオル1枚のまますき焼きの肉を少し食べていた。
「美味しい。」
「おいおい、勝手に食べんなよ。ほれ、服とズボン。お風呂場で着てこいよ。」
「あ、ありがとう。…着てきます。」
優しく言ったつもりが、命令口調になっていたせいで有言実行が発動したらしい。まあ女子高生も戻って行ったことだし、すき焼きの続きでもしようか…。俺は気づいた。さっきあの女子高生、俺の箸で肉を食べていた事に…。暫くして女子高生が服を着てリビングに来た。
「服ありがとうね。」
「おう、ってか俺が使っていた箸でさっき肉を食べただろ。仕方ないから洗って今食べているが、間接キス、とか気にしないのか?」
「間接キス………正直気にしますが、何も考えないで肉を食べていました……。」
点の時間がかなり長く感じた。間接キスしていた事に気付いて恥ずかしがったのだろうか。何も考えないで肉を食べるとか、コンビニで買って食べた分じゃあ足りなかったんじゃないか?
「まだお腹空いているのか?」
「さっきコンビニで食べたしお腹すいてない…正直、もう少し食べたいです…。もう…。」
「まだ残っているしもう少し茹でるか。」
「うぅぅぅ…。」
俺はキッチンに向かい置いて置いた残りの食材を取ってついでに箸とお椀と卵を持ってリビングに戻った。
「ほれ。」
「…いただきます。」
女子高生の前のテーブルに箸とお椀と卵を置くと素直に座っていただきますと言った。最初からお腹すいているならそういえばいいのに。ふと俺は女子高生の姿を見て思った。
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