異能では無い…友達と遊びに行く途中

7時前に私は起きた。


「よく寝た…あ、あの人のうちに泊まったんだっけ…ん?」


布団から起き上がると昨日泊まったことを思い出した。端にどかしてあったテーブルの上に何か紙が置いてあることに気付き布団から出て見に行く。鍵と紙が置いてあり紙に何か書いてあった。


「(おはよう。起きて出ていく時に鍵を閉めて下さい。よろしく。鍵はポストに入れて下さい。)…了解。ってか、あの人より後に起きたという事は一緒に寝たのバレたのかな?いや、バレたんだろうな。」


私はあの人になんて思われたのだろう?起こして理由を言うべきだっただろうか?いや、夜遅くに起こすのは申し訳ないよな。


「ってかもしかしてなにかされていたり?」


私は身体中を触って確認した。


「何もされてなさそう…。ってか隣で寝ている気付いたらびっくりしても良かったのに。そうすれば私だって少しは反応できたのにな…。いや、びっくりしない方が良かったのかもしれないけど。」


これだとまるで私がなにかされたいと考えているのと一緒じゃんと思い、少し恥ずかしくなった。


「1人で何恥ずかしくなっているんだろう…。そろそろ学校行かないとだし、言われた通りポストに入れて行きますか。」


そう言うとアパートの鍵を閉めてドアに付いていたポストに鍵を入れてあの人のアパートを後に高校に向かった。そして放課後、私はちょっとした騒動に巻き込まれるのであった。

場面は変わって俺、誠我は仕事終わって家に帰ってきた。鍵を開けドアを開け家に入りポストを開けると女子高生に言ったように鍵が入っていた。


「ちゃんと鍵をポストに入れてくれたんだな。昨日はいろいろあったけど、今日は何も無さそうだから家でのんびりしよう。疲れたな。」


そういえば昨日久しぶりに女性と会話したような気がしていた。まあ出会いもなく日々生きているだけだったし、昨日は昨日で結構楽しかったのかもしれない。どちらかと言うと一人でいるよりはみんなでいた方が好きな方だ。でも久しぶりだったので疲れてしまうのは仕方ない。今日はゆっくりしよう。もう19時をまわっていたので夕食を食べようと準備したが、俺はそんなに食べたりもしないので買ってきたコンビニ弁当やサンドイッチ、ジュースと言った簡単な物で準備と言える程でもなかったんだが。


「いただきます。」


一人いただきますと言い食べ始めた。みんなといる時間の方が好きだが、別に一人の時間が嫌いではなかったので特に虚しく感じたこともなかった。食べ始めて少し経った時、突然インターホンを連打された。


「なんだ一体…。」


俺はいやいやドアに近づいた。セールスで連打される事はあったが今回のはかなり激しい。しかも夜遅くにだ。いちおうドアの覗き穴から外を見た。


「セールスだったら迷惑行為として警察呼ぶ…は?」


ドアの前にいたのは昨日の女子高生だった。


時は戻って私、星璃は高校終わって友達と電車に乗っていた。友達は私が超能力に目覚めた事は知らないが、超能力、魅力によって受けた被害を何度か助けてくれた優しい友達だ。


「今日はどうする?一昨日は急に用事が出来たとかで遊んでいたのに帰ってしまったし、今日は何かあったりしないよね?」

「この前はごめんね。(能力の事は言えないし…)急に親に呼ばれてさ。今日は特に何も無いから遅くまで遊べるよ。」

「急に親に呼ばれるとか親孝行も大概にした方がいいよ。まあ過去の件もあるし、親が心配するのは仕方ないけど。」


過去の件とは魅力のせいで襲われた事だろう。襲われている私を助けてくれたのがこの友達なんだ。


「まあ親にももう大丈夫と言っておいたし、遊べるから安心してよ。」

「ならいいけど、今日こそはカラオケで歌いまくるよ!」


この友達と遊びに行くとしたらカラオケぐらい。他にも有りそうだが、この友達はカラオケが大好きなのだ。


「うん。」


今日は実際何も無かった。この前のように突如アビリティボールが現れたりしなければ急遽帰るようなことはしない。そのはずだった。しばらく友達と電車の中で何歌うか話している時だった。


「でさ、カラオケで何歌う?」

「うーん…何歌おう…ん?」


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