異能の脅威…乗り物酔いの星璃と誠我の家
「顔は動かせるよね?舌を噛まないように顔にだけは重力負荷かけてないからね。」
「た、確かに。」
つい顔にも重力をかけられていると錯覚していたが、確かに手足は動かせないが首や頭は動く。舌を噛ませてしまうことだけは避けたいようなので、私達の異能をなにかに使おうとしているのだろう。アビリティボールを奪ったところで同じ異能が発現する事は話からしてないのだろう。
「この状態でも舌を噛めるけどな。」
「確かに噛めるけど、噛みちぎる事は痛くて出来ないはずさ。人の我慢出来る領域ではない。」
華異斗は舌を噛んだが少し出血した程度で噛むのを諦めた。
「お前の言う通り痛いな…。」
「だろう?でもまさか、血を出血させるまで舌を噛むとは…。」
「だ、大丈夫?」
「ああ、大丈夫さ。で、俺達を押さえつけてこれからどう拐うんだ?」
「それはだね…えっと…。」
「考えてないのかい!」
「私もこの方法で拐うのは初めてだからね…。1度解除して…あっ!」
解除した隙をついて華異斗は、瞬速で私を抱き抱えると咄嗟に逃げた。
「うぶうぇぇ…」
「き、汚ぇ…逃げながら吐くな…。」
「ごめん…気持ち悪い…。」
私はまた乗り物酔いを引き起こした。
「逃げられたか…。よし、追いかけっこだ。」
紅蘭々は重力操作で追いかけてきた。
「追いついた。」
「う、嘘だろ…」
「私は無重力で走れるのだから瞬速だろうが追いつくのは簡単さ。」
「で、どうやって捕まえるんだ?」
華異斗は走りながら会話していた。
「重力で押さえつけるのはいいけど捉えられないし、走りながら考えるよ。」
「マジかよ…。」
こうして逃げる追いかけるの超高速追いかけっこが幕を開けた。
「た、助けてぇぇー…。」
私はただ耐えるしか出来なかった。それから2、3時間走り続けた頃。
「そろそろバテないのかい?」
「そろそろばててきたかもな…。」
「抱き抱えている彼女は気絶しているけど…。」
「うぉ、マジだ。」
「気づいてあげなよ。」
「まあこの追いかけっこももう終わりさ。」
すると突然、華異斗は足を止めた。
「どうしたんだい?…こ、ここは…。」
「走りに夢中で気付かなかったか?いや、わざと気づかせないように走っていた訳だけどさ。ここのアパート知っているんだろ?」
「あぁ、誠我さんの住んでいるアパートだね。もう19時まわったし、家にいるね…やられたよ。流石に合わせないように押さえても動けなくさせるだけだし、いずれは動いて会ってしまうだろうから。今回は引くとしよう。いや、自らこっちに来るだろうから待つのもいいか。華異斗君、じゃあね!」
そう言うと、紅蘭々は重力操作で帰って行った。
「なあ、そろそろ起きろよ。」
「…ん??…。」
「誠我とかいう奴のアパートさ。あの女は誠我を恐れて帰ったぜ。」
華異斗は起きた私をおろした。私は周囲を見て、誠我さんのアパートと紅蘭々さんが居ないことを確認した。
「じゃあ、早速誠我に会おうぜ。」
「えっと…そうだね。」
そして私達は誠我さんのいる部屋の前まで行き、私はインターホンを押した。
「あれ?出てこない。」
「こうするんだよ。」
華異斗君はインターホンを連打した。するとドアが開いた。
「うるせぇな…。なんだ女子高生…君は誰?」
「俺は華異斗。あんたにお願いがあってきたんだ。」
「お願い?」
「お願いする時はもう少し丁寧に言うもんだよ。この子のお姉ちゃんを救って欲しいんだけど無理かな?」
「は?一体何を言っているんだ?とにかく近所迷惑だし、中に入れ。」
そう言うと私と華異斗君は誠我さんに連れられて家の中に入った。テーブルの椅子に座ると華異斗君も隣の椅子に座り、反対側に誠我さんが座った。
「で、なんなんだ?」
「この子の姉が異能組織に捕まってしまったから助け出して欲しいんだよ。」
「俺からも頼む。」
「異能組織?まあよく分からないが、どうやらその子の姉が拉致られたから救って欲しいということだな。」
「そうだ。」
「生意気だな。俺の有言実行で救い出すなんて事出来んのか?…可能です。」
どうやら有言実行が発動した様だ。
「?なんだ今の?」
「今のが有言実行という誠我さんの異能だよ。質問口調とか命令口調?でなんでもできてしまうらしいんだよ。」
「まあそういうことだ。」
「なんでもということはお金を目の前に出すことも?」
「例えば、100万円目の前にあらわれろとか言えば出たりしてな。」
「えっ…うそ」
「どうし…は?」
誠我の目の前のテーブルの上に札束が突然現れた。100万はありそうな太い札束だ。
「本当に現れたね…。」
「俺も試したのは初だがこれ本当になんでも出来そうだな。この100万何に使おう…。」
いざ100万円手にしても何しようか考えてないとどうしようか迷ってしまう。
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