異能が続く…家に帰りにくい女子高生
「あなたってヘタレですか?」
「急になんだよ。」
「だってあのままにしておけば私の裸見れたんですよ?」
「お前は露出狂か?俺がもしお前に手出したりしたら俺が捕まるじゃないか。それに恥ずかしくないのか?」
「そりゃあ恥ずかしいですよ。でもあなたになら見られてもいいかなって…冗談です。」
「そういうことは彼氏にだけ言うんだな。」
「…そうします。」
どうやら命令は受諾されたらしい。これからこの女子高生は見られてもいいかなとは彼氏にしか言わないのだろう。
「冗談は彼氏にだけにします。」
そっちだったか。まあこれから冗談は彼氏にしか言わないのだから、色んな人に本当のことしか言えなくなったのだろうなと俺は思った。
「それでこれからどうするんですか?」
「する事ないし、帰るか?」
「…今日は正直帰りたくないです。」
彼女が彼氏に言うと彼氏が困るか、自分の家に誘いたくなるセリフきたー。巫山戯るのはいいとしてなんで帰りたくないのか聞かないとな。
「なんで帰りたくないんだ?」
「…それは家に姉の夫がいるから。あの人私に好意の視線を送ってきて気持ち悪いんです。まあ私の魅力がいけないんですが。私に会いに来る為に姉に嘘を言って家に来るんですよ。」
能力に苦しめられているんだなと俺は思った。姉の夫なら好きなのは姉のはずなのに妹に好意を抱く時点で不倫症の夫なのだろう。普通なら魅力があったとしても妻がいるなら妻を大事に思って妹に好意を抱く真似はしないだろう。この女子高生はそれを姉に言えずに仕方なく一緒に過ごしていると言った感じか。
「そりゃあ帰りにくくもなるな。それにしてもお前なんでそんなに災難に恵まれているんだ?」
「な、何で私こんなこと言っているんだろう?…能力のせいかもしれませんね。」
「俺の言葉で冗談は言えなくなったんだしな。能力のせいか…。」
能力があるといいなと思った時が俺にもあった。だが得た能力で苦しめられるなら能力はあんまりいいモノではないのかもしれない。
「そうだった。」
後文の方はスルーされてしまった。
「帰りたくないと言ったが、それならどうしたい?」
「命令じみた事言わないでください…あなたの家に1日泊まらせてくれませんか?って私今日あったばかりの人に何言っているんだ?」
「矛盾しているな。俺は泊まらせてやっても別にいいが?」
どうせ俺は一人暮らし。1人ぐらい1日泊めさせても大丈夫だ。まあ高校生を大人が家に連れていくのは世間的にあんまりいい印象はないのだろうから、もし泊めるとなると別々で家に向かった方がいいかも知れない。
「いや、私は高校生ですし、世間の目もありますから流石に大人なあなたについて行くのはどうかなと思います。悪い人ではないのはわかってますが。」
「それなら別々で家に向かえばいいだろ。俺の住所スマホで送るからさ。」
「本当にいいんですか?」
「おう、別に年下に何かしようとか俺にそんな気は無いしな。それとも命令じみた感じに言えば良かったか?」
命令じみた感じに言えば能力が発動してつべこべ言わず泊めさせてしまうだろう。流石の俺も無理やり泊めさせるのは気が引けるので命令口調で言わないように気を付けている訳だが。
「…いえ、命令口調で言わなくていいです。」
どうやら言えばよかったか?と言う質問口調に能力が反応してしまったらしい。命令口調でも質問口調でも有言実行の能力が反応するのは少し厄介だなと思った。
「まあとにかく俺の家に行こうぜ。」
「…わかりました。」
最終的には能力が発動してしまうのであった。家に最初に着いた俺は、鍵を開け、散らかっていた家を綺麗にしていた。女子高生とは言え、女性を家に招くとなれば少しは見えを張りたいと思ったからだ。と言っても寝室とリビングしかない家なので20分もかからないうちに綺麗になった。
「20分ぐらい経ったが来るの遅くないか?」
別々で家に行こうとは言ったが10分ぐらい差をあけて来れば大丈夫だろう。俺はそう思っていたがあの女子高生はまだ来ない。
「なにかあったんじゃないよな?」
彼女が来るのが遅くて待ち合わせ場所で待ちぼうけを喰らっている彼氏の気持ちと一緒なのかなと少し考えたが、あの女子高生は彼女ではない。どちらかと言うと娘に遊びに行こうと誘った父が一向に出てこない娘をリビングで待っている状況の方が近いような気がする。いや、血の繋がりはないのでどっちも違うか。そんな感じに巫山戯ながら考えているとドアのチャイムがなった。
「やっと来たのか。」
俺はドアを開けに行った。
「待ちくたびれたぞ。何を着ていたんだ?」
「何もしてない…時間をあけて来るように言われたのでコンビニで少し買って食べていました。…」
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