異能の脅威…危機迫る星璃と華衣斗
「で、これからどうするんだい?私は君達をこれから拉致しようと思うけど?」
「拉致できないんだろ?」
「まあね、力づくで殺さない程度になら出来るよ?」
「ちょっと悪い。」
「えっ…。」
突然紅蘭々は、指を下に向けようとした。重力で動けなくさせる気だ。咄嗟に華異斗は私の脇を抱き抱え瞬速で逃げた。
「あの少年やるね!まさか重力操作より先に瞬速で逃げるとは。」
紅蘭々の目の前には小さいクレーターがあっただけで誰もいなかった。
「うぇっぷ…。」
「あんたって乗り物酔いするの?俺の瞬速をあんたにも付与したはずだが?」
「仕方ないでしょう…。たった3秒で5キロも進んだんだよ。頭は高速で揺れるし…。」
「そりゃあ、道は真っ直ぐではないからさ。付与すればお前も瞬速効果で酔ったりしないはずなんだけどな。」
「ごめんね…乗り物弱くて…うっ。」
「だ、大丈夫か?」
私達はさっき紅蘭々といた駅前より10キロ離れた場所にいた。6秒で私はかなり乗り物酔いを引き起こしてしまったらしい。
「だ、だ、大丈夫…。」
「まあ今の状況が大丈夫では無いんだけどな。あの女に追われて逃げたはいいが行く宛てが無いんだ。しかもあの女の事だ、重力操作で俺たちの事を探している筈さ。いや、奴の部下を使って既に居場所バレたか?」
そう言えば部下に異能者を知る異能者がいるとか言っていたような。既にバレているとしたら…あの人に救いを求めるしかないのかな。
「華異斗君であっているよね?瞬速でこの場所に行けないかな?」
私は気分悪いのを我慢してスマホを操作し、地図を華異斗君に見せた。
「この場所って…さっき居た駅近いじゃん。あの女に見つかりやすいぞ?」
「見つかってもこの場所にすんでいる人がいれば安心だよ。」
「安心ってどういうことだ?」
「紅蘭々さんが言った最強の異能者が住んでいるから。」
「そう易々と誠我さんに合わせると思うのかい?」
会話していたら目の前に紅蘭々が現れた。
「思った通り、部下の生弥という奴の異能で俺達の居場所を突き止めたか…。」
「なんで名前知っているんだい!?」
「お前普通に名前口走っていただろ。」
「そうだったかな?」
確かに生弥と言っていた。そう言えば生弥という名前何処かで聴いたような?
「もしかして、地獄送りの生弥?」
「なんだそれ?」
「彼女は気付いてしまったか…。そうだよ、地獄送りの生弥が私の部下さ。ターゲットにした人達をお金で誘って研究材料にして数百人殺したとされる張本人さ。まあこの組織の本当のリーダーだよ。」
かなりやばい集団に目を付けられたらしい。地獄送りの生弥は、都市伝説ぐらいにしか考えてなかった。いや、1、2回ニュースになった後、何故かテレビから消えてしまったのだ。普通ならもっと取上げられてもいいと思うが不思議な話だ。
「数百人って本当なのか?」
「聞いた事あるけど数えた事ないらしいから実際には数十人なのかもしれないけどね。」
数百人は嘘かもしれないけど、それでも数十人は殺したという事か。
「なんで大きなニュースにならなかったんですか?」
最低でも数十人殺したのだから大きなニュースになっても可笑しくない。
「生弥の妻に精神系アビリティボールを渡したら記憶改竄の異能が目覚めたんだよね。それを利用してアナウンサーに変装し、実験は存在しなかった事にしたんだよ。まあ記憶改竄の異能のおかげで組織化することが出来たと言っても過言ではないんだよね。」
「そいつはどうしたんだ?俺たちの記憶を改竄してお前達の組織にいた事にさせる事だって出来るはずだ。」
「君は賢いね。諸事情で12年前に亡くなったよ。」
「諸事情?」
「あぁ、諸事情さ。詳しく聞きたいかい?」
なんか結構嫌な話になりそうだ。諸事情と言って何があったのか言わないという事は言い難い何かだと言うことは想像出来る。
「いえ、詳しく言わなくていいです。」
「そ、そうだな…。」
華異斗君は何があったのか聞き出そうだったが、私に言われて諦めた。こういう事好きなのかな?
「話はこの辺にしてそろそろ捕まえようとしようかな。」
すると突然右の人差し指を下に向けた。私と華異斗君は下に押しつぶされた。
「く…油断した…。」
「うぅ…。」
重力で私達は完全に動けなかった。絶対絶命だ。
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