異能による騒動…騒然駅周辺が火の海になりつつあった
もしぶつかっていたりしたらと思うと私はフェンスを見て言葉を失った。
「避けなくても良かったのに。安心してよ。俺はあんたを殺したりしないから。今のペットボトルだってわざとずらして投げたからね。」
ずらして投げたにせよキャップで柱を壊す威力だ。軌道が見えなければ怖い。投げたキャップはプレスかかったかのように曲がって下に落ちていて、ペットボトルも足で潰した以上にプレスされた状態でフェンス下に落ちている。
「私なんて必要ないんじゃないの?」
「いや、こんな威力があっても、当たらなくては意味が無い。もしも敵に異能者がいて何らかの力で対抗してきたら?俺は確実に姉を助けたいんだ。」
「ひとつ聞いていい?敵って誰なの?」
敵敵と言っているが誰がこの子の姉に何をしたのか聞いてない。
「敵は正直なんなのか分からないけど、なんかの組織ってことはわかっている。俺の姉は俺と同様に超能力者で相手を思ったように支配してしまう能力者だ。だから攫われるなんてことは有り得ないんだが、姉は能力を使いたがらないだから捕まってしまった。親が警察に捜査依頼出したがここ2ヶ月まだ見つかってない。手がかりも何も無いという事は、なにか異能者が複数人関与していると言っても可笑しくないだろ。」
「なんかの組織という事は?」
「俺の目の前で拐われたんだ。俺は気付いたら目の前から姉が消えていて時間が10分程進んでいた。俺の動きを10分間止められたという事はなんかの異能者である事は間違いないだろ。しかも一人拐うとしたら数人でやるしか無い。という事は組織であることは間違いないんだ。」
この子って案外推理ものが好きなのかもしれないなと思った。話をしているとホームに警察がきたので少年を連れてエスカレーターで登って行った。流石にこの子が犯人だなんて誰も見ていないのだから分からないだろう。もし調べられても凶器なんて無いのだから。指紋だって多少焦げているのだから出てこないだろう。友達も何処かへといつの間にか消えてしまったのだから私も怖くなって帰ったという事にして明日学校で謝ればいい。
「駅出たけどどうするの?」
「特に何も考えて…え?」
すると突然目の前にあったコンビニのゴミ捨て場が引火した。周りを見ると周囲で火事が起きていた。
「これって?」
「発火能力者の仕業だろう。事件を聞きつけて誰かより事件を引き起こしたか?いや、もしかしたら俺を狙った組織の仕業?」
「考え過ぎなんじゃ?それだったらお姉さんを拐った時に君もさらわれているんじゃないの?」
「姉をさらった時に俺は必要ないと思われていたが、今回の件で必要だと思われたとか?」
「なるほど。」
今回の件は確かに瞬速を使った結構公の騒動だ。組織にとって必要と思われても仕方ない。だが、それだと不可解な事がある。いや、最初からあったんだが。
「なんでその組織は異能がわかったんだろう?」
「なにか異能を知ることが出来るものがいるとか?」
この子って結構賢いんだなと思った。確かにそう言った能力で知ることも出来るだろう。という事は私の超能力も気付かれているわけで…。あれ?私も危なくない?
「それだと私も危ないような?」
「今更気付いたの?俺とあんたが接近した時点で相手側もなにかあると思ってこうやって騒動を大きくしてきたんだ。俺の予想だと、そろそろやばい能力者を導入してくるんじゃないか?」
「にしてもなんでお姉さんをさらった時のように拐おうとしてこないんだろう?」
「その時俺の動きを止めていた能力者がいなくなってそう易々と拐えなくなったとか?」
「なんか推理するの上手いね。」
「推理ではなくて直感だけどな。」
いや、もし言っていることが正しければ、こんなに騒動を大きくしたことは理解出来る。動きを止める能力者がなんかの事情でいなくなったのなら、拐うために騒動を大きくして動揺や隙を狙って拐うとかして能力を使わせずに拐うのが妥当だろう。私も実感している事だけど、動揺や隙で能力が発動したりしなかったりする。この駅周辺発火は火という恐怖を与えて能力を使えなくさせようという魂胆だろう。消防車の音がし始めた。
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