言葉を知らない頃にも読みたかった

人間が神様を求めるように、神様も人間を求める。これは「信仰」という名の共依存であり、お互いの存在理由の一つなんだなと思いました。だからナギには野分がなくてはならない、その逆もまた同様で結末の説得力に繋がるのだなと。ただこれは個人的な思いですけど一度山を離れたナギが野分の感情だけに救われてしまうのがカタルシスが些か弱い(或いは軽い)気がしました。ナギが許されるのは理由が純朴な願いであること、山を離れたのは一度であるけれどナギ自身が二度捨てられてしまうので対価は成立することとして理屈はつくのですが、もっと別離が大きな意味を持つ流れであれば感情は更に揺さぶられたと思います。
好きなように申しましたが個々の場面は美しく、中盤で野分が憤怒し落胆するまでの流れはディズニーアニメのような雰囲気が伝わってきて感動しました。ひなたさんの言葉えらびはとにかく綺麗でファンタジーとの親和性が抜群です。童話と捉えると対象年齢は高めだけど幼い頃に読んでも意味以外のところでも得るものに溢れていると思います。

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