自分が自分であることが幸せを呼ぶ

幼い頃から暗殺者として生きてきた主人公サザは、ひょんなことから突然領主の妻になることに。だが、移民してきたイスパハルという国では暗殺者は忌み嫌われる職業。また、国王に嘘をついてはならないという誓いを破ると死罪になる為、サザは元暗殺者という身分をひた隠しにして生きることになります。

些細なことがきっかけで夫婦になった二人ですが、互いが互いを信頼し、愛を深め合う過程が丁寧に描写されている為に、読んでいるうちに二人の幸せを願わずにはいられません。領主と言えども孤児の出であるユタカは身分違いであるはずのサザの人間性を愛し、またサザも元暗殺者であるがゆえに、ユタカが持つ苦悩や葛藤を受け入れて彼を支える存在になっていきます。

サザとユタカ。互いが互いを守る為に、命をかけて戦う場面は圧巻で、クライマックスの展開は手に汗握りながら読んでしまいました。
そしてその先にある結末──自分が暗殺者であることに誇りを持ち、自分が守るべきものを守り抜いた先にある幸せを、あなたもぜひ見届けてください。

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