人は出自がどうあれ、育ちがどうあれ、その人次第で美しく生きられる。

暗殺者として生きてきたサザ。国有数の剣士であり、領主であるユタカ。
この2人がひょんなことから、結婚し、夫婦として生きる羽目になる。
だがサザの素性は公になれば、死罪になる。
しかし謎の追っ手に追われるユタカを護るため、サザは自らを顧みることなく、暗殺者に立ち向かう。
はたして元暗殺者対暗殺者の戦いは? サザとユタカの運命は?
……この物語の根本には、強い愛情があります。
その主なものはサザとユタカの強い結びつきであるのですが、
それだけでなく、サザのかつての仲間、
またはユタカの幼き日の人間関係だったり、
国王とユタカの繋がりだったり……
とにかくストーリーのどこそこに、何かしらの愛情が隠れ、育まれています。
そしてそれらが、互いを思い、助け、共に生きようとして話を加速させていく。
そこがなにより、美しい物語だと思います。
さらに、人間の出自というものにも重きを置いて語られています。
人はその生まれが貧しくとも、過去が卑しくとも、現在をどう生きるかで
如何にも美しく生きることが出来る。
そんな、強いメッセージ性にも溢れています。
尊く美しい物語です。ぜひ、じっくり、心から味わって下さい。

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