あなたのこころが赦す限り深読みしてください。そこに優しさが見つかるから

 いじめにあい不登校になっていた〈僕〉水野が久しぶりに学校に行くと、その根源になっていた、当時、みんなの人気者だったはずの桐野がいじめにあっていた。

 周囲から無視されることに耐えているように見え、思わず、僕から声をかける。
 人気者だったはずの桐野は、そのことに驚き、そこから、奇妙なふたりの関係が始まった。

 この物語の僕は、不登校を嘆く母親の姿を見て、そこから抜け出す努力をするほどの、優しい性格なのです。
 でも、自分の不登校の原因を作った桐野に対して、こころは寛大すぎる気がするのです。簡単に赦せるわけない……と。
 たぶん、皆さまだって、そう思うに違いありません。

 僕が話しかけたことをきっかけにして、いろいろつきまとい始めた桐野。
 こちらも、いじめの原因だったことを忘れてるの? と思うでしょう……。

 皆さまは、その疑問を抱えたまま、ラストまで読み終えてください……。謎はなぞのまま、本文はエンディングを迎えますが、そこで考えてください……。
 書かれていない物語の中に、何が見えますか……?

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透明な僕とお前

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