14歳。良くも悪くも「処世術」を身につける年。

本作の主人公はフランスからの「帰国子女」という側面があり、彼ならではなグローバルギャップ、プライド、性的嗜好などによる苦しさ、辛さをたくさん経て、育っていったことでしょう。

ですが、世に生きる中学生──14歳というタイミングは、大半の子どもにとってもひとつの「ターニングポイント」と私は考えています。

自分自身でしか理解しがたい思考、嗜好。
自分自身と異なる周りの人間とどう付き合っていくか。
もしも上手くいかなくて誰かとぶつかったり、いじめやスクールカーストなど、人間関係に悩まされてしまったとき、どうやってその障害を乗り越え、あるいは逃げれば心穏やかな日々を過ごせるようになるのか。

そういった「処世術」じみた成長をしていくのが思春期という年頃じゃないでしょうか。
正しい、正しくないと一緒くたには語れない命題に、読み手の私たちが図らずとも向き合わなければいけなくなる物語でした。

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