暁の空へと帰ってゆく、妖怪と人が織り成す、心が熱くなる一冬の壮大な物語
夕美映町、冬が始まりはじめた、12月の午前6時前の時間。
赤橙白太アカダイシロタは新聞配達をしている最中、謎の異形な姿をした妖怪たちが、集団で行脚をしながら、暁の遠い空の、その先へと、還ってゆくのを目撃した。
白太はまだ自分が幼かった時、不慮の事故で父親を亡くし、母親もその事故で脳に傷を負って、今も意識不明のまま、病院で長期入院している。
親類もあまりいなく、自分たちの親と関わりたくないのも向こうにはあり、
自分の力だけで生活保護を受けながら新聞配達の仕事をしているわけだが、
白太自体も軽い知的障害があり、学校での勉学と、新聞配達の苦しい生活のなか、懸命な日々を送っていた。
白太は天然でもあるのか、生まれつきの恥ずかしがり屋で、学校では友達みんなにそのことを話したくても、
聞く耳をもたないクラスメイトもいたりで中々話せなく、内にとどめておくのも歯痒く、悔しく、薄ら怖く。
なので、そんな謎の生命体、あれはUMAなのか!? と内心得体の知れないものを見た好奇心からなのだろう。
クラス全員をあっと驚かすために、既成事実を作ろうと、
言い伝えによれば、夕暮れ時の逢魔が刻には夕美映町の何処かに何かが現れる。
その時は必ず訪れる…………。
白太がこの町にきてから、1番の親代わりとして、一方その白太からは、日頃の面倒を見てもらっている、
愛情深いおばあさんの家に一晩泊まった時、白太におばあさんは夕美映町の昔々の言い伝えを教えてくれた。
そのおばあさんが語った言葉通り、
この前の妖怪たちを見た場所で、1日の終わる夕焼けの時間帯に、試しにいっちょいってみるかーー!(そんなノリ!?)、と寒い中、夕日が消えるまで待っていたが、
何も現れる者はいなかった。
「な〜〜んだ、何も現れないか……」
と小学生の無邪気さが少しだけ出たのだろうか。その時はただ、ちょっと無茶にくるっと体を回転させただけだった。
とその時!! 横の凄く水の流れが速い、側溝に誤って落っこちてしまった!
(((ダメだ、もう終わりだ!!)))
白太が自分の、生命の終わりを予期した、その時!
いつの間にか、数メートルしか離れていない場所で、白太は体が宙に浮いていて助かっていた!!
そして白太は実際に見た…………!!
───この後の続きは本編にて!───
❉❉この物語は、生き方に悩み、苦しみを抱える人々に、白太たちとバディを組んだ妖怪たちが、その当事者それぞれがそれぞれの支え船になる、日常の大奔走から生まれる、妖怪と人が織りなす、暖かだけれど、それなりに熱い、妖怪×人間の、一時の荘厳アドベンチャー冬物語り現代ファンタジー。。となっております❉❉