4話目「学校への登校中、ある見解が思い浮かぶうぅ?」



 時刻は8時前。



 いざ授業前などの休み時間に、今日の早朝に見た百匹の化け物の一件を、学校の友達にどんな低調の声・雰囲気でみんなに語りかけたら、ひ〜っ!!! というか、Huuuu! などというか。どんなリアクションが飛び出すのか、楽しみだなあ〜〜、ウッシッシッシ!! と、白太は考えながらわくわくしつつ、


 田舎町の田んぼや畑の脇道をいくつか通り過ぎ学校へと向かう。


〔白太はなるべくならオドロオドロしく、みんなをとにかく恐怖のどん底へ落とし入れようと謀略を練っている……!?〕


 天然なのか。それとも百匹の妖怪を見て白太自身……


 そのように。わたしは妙案しつつも〔いきなりアホボケバカのトリプル呼吸、杉過すぎすぎでしたね、あのストーリーの………………)。



 白太は登校のためいつも歩く、両側がこれまた。夕美映橋のように錆びついている、鉄板の塀が続く舗装もまばらな片田舎の長い細道をゆく。


 早朝に奇怪なあやかしをみた場所。白太がいま徒歩で学校へと向かう地点とは幾分距離はある「夕美映橋」が架かる、新聞配達でもいつもの学校の登下校の時にも、平行している夕美映川、の河川敷だから。また、自然とそこに辿り着く。


 小学校へはこの田舎町らしい普通河川の夕美映川。その小さな侘しい土手沿いを歩いて向かうのが、夕美映小学校の実に75%の生徒の登校スタイルである。


 その夕美映川の土手に繋がる階段を登り白太は土手に着き、そしてまた歩き続けた。


 この夕美映川の土手・堤防は、いつの時代に造られたのだろうか。時代は、戦国時代中期に水害用のための防止の意図として造られてきた。ここ夕美映町では、昔から湿地帯であったため稲が豊富に育つ環境ではあったが、地面は水はけが悪く、農作物のなかには相性が悪い側面のものもあり、水害による被害にも同時に襲れもしてきていた。田んぼが各地にあった『夕美映村』では、戦国時代に百姓が『特別な稲穂』から米で作った握り飯を、戦火におののく武家に献上する習わしがあったため、只でさえ水はけが悪い上、嵐で夕美映川が氾濫したら、そのいくさにもってゆく米の原材料である稲も手の施しようがなくなる。堤防が造られるのは、農民にとって生きていくうえで重大な問題ではなくなるため。夕美映川の堤防は当時の人達にとってはまさに喫緊きっきんの必須条件だった。そういった歴史もあり、土地・農作物と武家・百姓に関わる歴史は以外と深い。


 ただ、それらとも限らない。夕美映町の古くは「天文の元号の時代」から連なる昔々の史実。資料館にでもいかない限り多くの町民も全く生涯知ることもないまま、終わるだろう。


 ましてや最近夕美映町に引っ越してきた、田舎暮らしをやりに他方からきた移住者には、降ってわいたような話、というより寝耳に水だ。


 夕美映町の濛濛もうもうと濃く。深く。古くから伝わる逸話いつわを知れない町民。知る術などないのだ。除いては、一部の者だけとを……



 ――……おおっと、話の内容を白太の学校への登校の場面に戻すと、しよう………【ねぇんば。早くストーリー筆圧強く、綴って綴ってええぇん!】………と。しよう。


〔なにこれ……………エロい、紙?! 擬人化しちゃってる?? ぃや………〕



 夕美映橋よりはまだ規模の大きい橋梁きょうりょうが目の前に架かっている。夕美映川ゆうびばえがわの上にその橋がある訳だが〔当たり前田のクラッカーだし………〕、


 一旦、その道路の下を流れる夕美映川ゆうびばえがわからは離れる。


 学校への通学路であり夕美映橋にも通る、向かいに延びた交通道路の、右方向に設備された交差点を渡らない。遠回りになってはしまうが、


 土手の橋梁を潜る小道と夕美映橋に続く、やや斜めに整備はされていない道路前、中央からやや右下へ。交差点への道は選ばれず外されて。土手から反れるままに下に延びる逕路けいろに『自然と』動く白太の足がそちらへと向かわされていく……。


 何故か辺りを妙に何度か振り返り。でも白太はその通り道を自ら選ぶかのように歩む。川に沿うように土手からの緩い坂道を歩いて下りてゆくと。薄暗いトンネルのなかへと入った。


 このトンネルのコンクリートの上がその橋梁きょうりょうの、川とぶつかる手前の道路にあたるのだが、


 ここは。夜ともなればオレンジの蛍光灯だけが灯るだけの、少し怖々おずおずする寂しい場所だ。


 そして何を隠そう。白太の新聞配達の自転車のスピードが急に低速する場所でもある。


 だが白太は、そのことが頭からまるで「スポッ!」と筒抜つつぬけの容子ようすへとなっていた。何故かは解らないが、何もそのことへはただ思力しりき」はおろか、新聞配達のことが唯頭に浮かぶことすら僅かも、なかったのだ。


 自分の山積みだと思い込んでいる課題のプレッシャーも、一緒に潜り抜けるような気持で。暗がりのなかを歩いていく。


 トンネル内を少し恐々こわごわしながらも、光が差し込んできて、その目の前の課題からは、ようやく抜け出すことが出来た。



 おやっ。だが。白太くん、様子がちょっとおかしいようです。我々白太くん取材班もひんやり汗気味です………………。


(新手の登場お!? ていうか,何処何処どこどこの,誰誰だれだれが,取材材班しゅざいざいはん担担になになってるんやあ!!? ………〔ぉ、ぉおーぉ、ぉ、お前も十分新手だょうぅ!……………〕。)。



 白太は、急に思った。

 そう、悟ったのだ。


《もしかして。ええっ!! 六時前に見た百匹の妖怪と、自転車のこととが、何か関係してるう!?》


 悪寒が身体に纏い「ブルッ」と少しだけ身震いをした。

(………ああ、寒かったの。ね………………)



 新聞配達でも通る「ここへ」来てから、と。いうよりきは、来た。からなのか。その御勤めをおこなっている場所。そう


 そ・こ・が・ま・さ・か……。


 新聞配達の配る速さが遅く、一向に変わらないのが全くもってわからない、万事ばんじキュース〔造語。他作品でも沢山作りやがりまくっています〕の軽度知的障害の白太の頭のなかでも、十分わかりる。


 幼少の頃に気づかずとも、何故かずっと寄り添うように。いつでも、そばにあった…………モノノ怪、化け物、魑魅すだま魍魎もうりょうあやかし、妖怪。その『絵本』の物語りでしかその一部分を見たことしかない、自分たち人間の頭のなかの知識を超えた、昔々のあのお化けたちの仕業。なの!?


 白太がふいに、そのことを思っていた時であった。


 夕美映川のほとりの橋の下で、川辺に片膝を着いてしゃがみ込んでいる、全身が黒の服装で、ロングコートを着ている姿が特にまた目立つ。黒鉄色くろがねいろに輝き放ち、銀色にもにぶく光る。ロン毛の髪の毛も、また、また。………目立つ。謎の長身の男性が、川の水を右手の平ですくって【なにか】をしている。


 その謎の光景を、白太は見てしまった。


《なんだろう、あのおじさん、何をしてるんだろう……》、



 と、白太が不思議がって夕美映川ゆうみばえがわの川原を見ていた、次の瞬間!


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