概要
ジャッ、ジャッ、ジャッ、ジャリ。 ——うん。やべえ奴だ。通報通報っと。
『コバルト短編小説新人賞』【もう一歩の作品】
「三桜公園にヘッドフォンのお化けが出るって知ってる?」
昼休み。バスケットのリングにボールをポスッと入れながら仁一(じんいち)は不穏なこと言った。
その公園は緑下団地にある。確か表子(ひょうこ)もその団地だったような。
「ヘッドフォンが浮いてるの?」
「そうじゃなくて、ヘッドフォンを付けたお化けがこの世のものとは思えないような動きで暴れてるんだってさ」
そんなことってある? 仁一も表子も心配してるけど、確かめてみたくなっちゃうよねー。
【主題歌(願望)】『wait』/FACT
「三桜公園にヘッドフォンのお化けが出るって知ってる?」
昼休み。バスケットのリングにボールをポスッと入れながら仁一(じんいち)は不穏なこと言った。
その公園は緑下団地にある。確か表子(ひょうこ)もその団地だったような。
「ヘッドフォンが浮いてるの?」
「そうじゃなくて、ヘッドフォンを付けたお化けがこの世のものとは思えないような動きで暴れてるんだってさ」
そんなことってある? 仁一も表子も心配してるけど、確かめてみたくなっちゃうよねー。
【主題歌(願望)】『wait』/FACT
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おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!じゃあ《飛ぶ?》
「事実は小説よりも奇なり」という言葉があります。これ、「事実は小説よりも不条理なり」ともいえるとおもいます。
現実って不条理で不公平、混沌としているものなんです。助けはいつでも間にあうわけじゃないし、愛しあったふたりが一年後に愛し続けているとはかぎらない。現実は思いどおりになんかならないし、報われないものはどんだけ努力しても報われないし、期待は大抵が最悪のかたちで裏切られるし。
この小説に登場する未来香もそう。ことごとく、現実に裏切られます。
彼女は夜な夜な公園に現れるというヘッドフォンをつけたおばけの噂を聞き、その真偽を確かめにいきます。
そこにいたのはおばけではなく、ヘッドフォンをつけ…続きを読む