第12話 線路と小さいおじさん



会社を退社し、ニューヨークの生活がいつから始まるのかがまだ明確ではなくそれまでの空白の期間がありどうしようかと考えていた時、


人の人生の線路が見えるという女性に出会った。

その方はキラキラしていて優しく素敵な女性だった。



その女性が見える線路とは

人から繋がっている人生の線路で

小さいおじさんが一生懸命その線路を作るのだとか。

人によっては小さなおじさんがどっかに行っちゃっていて線路を作ろうともしてなかったり


ビジョンが決まっているような人だと

遠くまで線路が完成しているとのこと。



その方とは初対面だったので私の近況をなにも伝えてない状態で、

私の線路は見えますか?と聞くと


私の線路は短くて、小さなおじさん達が

作ろうとしてるのに指示がなくて作れない状態だと言われた。



自分の状況そのものだった。


線路を作ろうと小さな人達がちゃんといるから

あなたがちゃんと指示しないとね。と言われた。



その時、偶然隣にいた初めましての男性も聞いていて

その男性の線路は、長い長い線路が既に出来ていると言われていた。

その男性は新しい仕事を始め、まさに波に乗っていきそうな人だった。



自分でしっかり決めていかないといけない。


そこから準備も整いだしニューヨークへのカウントダウンが始まった。


自分の実感より環境の変化の方が何倍も早い。

実感は環境が変化してから徐々に受け入れていく。



渡米の目処がついてからしばらく経ったあと

夜、寝ようとした時に寝るか寝ないかのちょうど間くらいの時に自分から繋がっている線路が見えた。


小さいおじさんが旗を背負い歩いてきて

手前に旗を立てた。

なんかかわいかった。


えっ?!と思って起き上がった時は

なんにもなかった。



あ、私にも線路がやっとできて

ここからスタートね!って言われている気がした。


そう感じたんだから合ってるだろと

そう思いたかったから直感を信じ、

なんかワクワクしたのを覚えている。



そういえば薄っすら昔の記憶があるのは


中学の時に家に小さなクリスマスツリーを飾っていて、


クリスマスが終わると私が片付けなければならなくて、お母さんに「はやく片付けて」といわれ

めんどくさがりながら木箱にクリスマスの飾りやツリーなどを畳んで入れていた。


木箱に全部しまい終わった達成感で

動きたくなくなったので

その木箱はまだ片付けず出しっぱなしの状態で

木箱の横でゴロゴロしていた。


気付いたら寝てしまって、

目を開けた瞬間に、木箱の横に


小さいおじさんがクリスマスの小さい飾りを担いでいた。

とっさに私は「せっかく片付けたのに!!」と思い

私と目があった瞬間に飾りを置いて逃げていった。



私は今なにを見た?幻覚?

と思ったけど

全部片付けたはずの飾りだけが木箱の横に1つ。


しばらくその飾りを見てボーッとした。



これを友達に言うとたまに共感してくれる、

似たような違うシュチュエーションを経験した友達とかもいてなんか、安心した。


友達がみたおじさんは

学生時代に机の下でおじさんが踊っていたり

授業中暇だったのでテスト用紙を丸めての中を除いたら、その中でおじさんが踊っていたり

美容院のシャンプー台の下を走り回っていたり



その友達は私がみた回数より多い強者だった。







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