エピローグ

エピローグ

「みんな、ここが俺達の新天地、パルケだ」

 カンが高らかに宣言する。星の舟の一行は獣に襲われることもなく朝日と共に目的地に到着した。

 ほっとしたムードが皆に行き渡ったのを確認してから、ノフがみんな、と注目を集める。

「みんなお疲れ様、今日がパルケの初日になる。それで、お疲れのところ悪いのだけど、今日と言う始まりの日に、カンとイシュの結婚式を挙げたいんだ」

 ツィキンが合いの手を入れる。

「ちょうど正装だしね」

「どうだろう?」

 新しい土地に着いた高揚感も手伝ってか、誰一人反対する者はおらず、やろうやろうと盛り上がる。

「と言ってもまだ何もない。だから、みんなのところを二人が歩く、それだけだ。どうぞ祝福してやって欲しい」

 誰かが歌を歌った。パレンケの民なら誰でも知っている歌だ。それが伝染して、大合唱になる。涙を滲ませる人、笑顔の人。

「イシュ」

「カン」

 二人は手を取って、歩き始める。胸を張って。最初はノフとツィキンのところから。そして仲間みんなのところへ。

 


(了)

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パレンケの舟 真花 @kawapsyc

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