獅詩

「罪を犯して、報うべきだ。当然だろ？あの時の罪を償わなきゃ。幸せな終わりが僕にはない」留置所の面会室、窓越しに友人に告げる中川・英志（なかがわ・えいじ）。突然差し出されたその現実が松原・敬（まつばら・けい）が途方にくれる。
　一年前から真朝町（しんちょうちょう）私立大学に入学した英志は同輩に憧れている。男前に心優しい上、ボクシング部のエースの一人として人気者だ。愛する彼女までいて全面的に幸せな人生を送る男子大学生である。
　しかし、ある日に高巻・冬馬（たかまき・とうま）と仲田・宗介（なかだ・そうすけ）という警備達は殺人罪犯行の容疑で英志を逮捕する。抵抗もせずに彼はその罪を認めた。当時のことについても何も打ち明けず、「皆が知ってる今の僕なんて、以前と別人だ。人で無しだった僕はやはり過去から逃げ…続きを読む