紛うことなきゴーストでしたが、決してホラーではありません。タイトルはGHOSTとなんだか無機質的で怖いイメージですが、その実、心がホッと安らぐような人間味あふれる物語でした。語り口が独特の堅さを持っていますが、これがまたいい具合にマッチしていて面白い。過去と現在。45歳と25歳。思い出の品と新居。こういった対比も素晴らしいです。あと、ほのかさん完璧すぎる妻なんで、もっとやさしくしてあげて欲しいなって思いました。
私は齢四十五にして、20歳もの歳下の女性と同棲。私は実家から送った荷物の中に懐かしいゲーム機を発見。レースゲーム。文章うまいです。メッセージ性あります。
思い出は大事だ。人生の糧にもなる。父の残したGHOSTと戦い、それを乗り越えた男は、思い出の扱いに逡巡する。そして……男の恋は「名前をつけて保存」、女の恋は「上書き保存」という例えを聞いたことがある。今の時代では異論もあろうが、僕はこの例えはかなり的を射ていると思う。ただ、恋だけでなく、そして男女問わず、時として自分の過去を上書き保存しないと前に進めないことがある。すんなりと進めない時、思い出の外にいる誰かの後押しが必要なのかもしれない。乗り越えるべきは勝つことではない。”私“の新しい門出を祝福したい。
とある男が懐かしのゲームを遊びはじめる。かつては時間を忘れてのめり込んだレースゲームである。しかし大人になり、そんなことも忘れてしまっていたのだが――。明治文学の私小説かと思わせる文体と内容とのギャップが面白い。この作者、魅せます。詳細は本編をご覧ください。損はさせません。
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