第7話
空が黄色に染まる夕立5分前
誰もいない庭の片隅
何も話さないキミと私
大きいけれどボロボロの傘
確実に降るだろう雨の匂い
見上げた空は低く重くて
それでもなぜかキミも私も
部屋へ戻りたくはなくて
降り始めた大粒の雨は
傘に跳ね返りリズムを打つ
二人は少しずつ肩を濡らしながら
雨の奏でるメロディを聴いていた
少しずつ冷えていく温度に
そっと手をつなぎ指を絡めて
透明の傘の中から私は
世界にたった二人きりでいるような気がした
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